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101歳女性、ミニチュア作品展示 故郷・東近江で13体

自身が制作したミニチュア作品を見に来館した藤井さん=東近江市五個荘竜田町の近江商人博物館で

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 東近江市出身で、長年人形制作に取り組んできた藤井志満子さん(大津市、百一歳)による、江戸時代の近江商家をモチーフにしたミニチュア作品「近江商人物語」が、東近江市五個荘竜田町の近江商人博物館で展示されている。身近な材料で繊細に作られていて、商家の暮らしの息遣いが聞こえてくるようだ。

 ミニチュアは百センチ×七十センチの大きさ。帳場でそろばんをはじく番頭、茶をたしなむ主人と客、着物を仕立てる女性たち、そろばんを手習いするでっちなど十三体の人形が並び、たんすやあんどん、座布団などの家財道具が置かれている。反物が詰め込まれた棚から床の間に置かれたつぼに描かれた花の絵まで、細部にわたって制作されている。

帳場でそろばんをはじく番頭の人形=東近江市五個荘竜田町の近江商人博物館で

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 同館学芸員らによると、藤井さんが八十歳ごろから取り掛かった作品。十年以上かけて少しずつ大きくしてきた。人形の着物は古くなった着物から作り、たんすや障子はホームセンターで購入した木材や和紙を加工して制作。そろばんの球にはビーズを、筆の毛先は野草を摘んできて仕立てた。掛け軸は絵柄の部分に新聞広告を利用するなど、アイデアが光る。同居の次女(73)は「散歩に出ては材料を集めていた。良さそうな石を見つけると『これは沓脱石(くつぬぎいし)に使える』と喜んでいた」と話す。主人とでっちの着物の仕立ての違い、女性の髪の流れ方などにも徹底したこだわりを見せ、近所の図書館で資料収集するのが日課だったという。

 旧五個荘町(東近江市五個荘地区)に住み、町内や能登川町、八日市市の中学校で働いた藤井さん。一九七一年に退職すると、人形作りや押し絵に傾倒し、京都や大阪の職人から技術を学んだ。二〇〇〇年以降は、県内や京都で個展を開くなどしてきた。教室を開けば、地区内を中心に大勢の人が教えを請おうと詰め掛けた。

 今回展示のミニチュアは、同館企画展で十年前にも展示したもので、地区一帯で開催していた「商家に伝わるひな人形めぐり」に合わせて、藤井さんから同館に寄贈された。上平千恵学芸員は「ひな祭りは女の子の成長を願う行事。藤井さんのように、いつまでも楽しみ続けることの大切さを知ってもらうために活用していきたい」と語る。当面は三階の展示ケースで公開する。

当時の髪形を再現した女性の人形などアイデアが光る作品=東近江市五個荘竜田町の近江商人博物館で

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 藤井さんは先日、次女と共に来館した。展示を興味深そうに眺めてまわり、自身のミニチュア作品が展示された一角に差しかかるとひときわ目を細めた。車いすから落ちんばかりに展示ケースをのぞき込み、思い出を振り返るように人形を指さした。「生きている間に、来られて良かった」。顔をくしゃくしゃにしながら、案内役の学芸員らに手を合わせ、会場を後にした。

 (小原健太)

 

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