愛知

<県議選 激戦の現場>尾張編(上)

2015年4月6日

◆保守乱立、念入りに票固め 一宮市選挙区

候補者2人が並び、卸売市場を出入りする人に手を振った=5日、一宮地方総合卸売市場で

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 旧尾西市、旧木曽川町との合併から今年で十年を迎えた一宮市。二月に新市長が誕生したが、その時の保守分裂選挙という余波から、今回の県議選でも保守系候補が四人と乱立。現職の民主、公明の両候補に加え、維新と共産の両候補も議席獲得をうかがい、激戦となっている。

 「選挙サンデー」となった五日、南部の一宮地方総合卸売市場には、早朝から五陣営が順々に現れた。

 午前五時半。一番乗りした犬飼は「厳しい選挙は気合が大事」と、出入りする業者に威勢良く手を振った。旧尾西市を地盤に、元県議で自民党の長坂康正衆院議員(愛知9区)の「後継」として市議からの転身を図る。

 元市議の神戸は、市長選では自民党の江崎鉄磨衆院議員(愛知10区)の支援を受けたが次点で惜敗。市場内の買い物客らと握手をし、「市を活性化したいという思いに変わりはありません」と支援を呼び掛けた。

 鉢巻きと半袖シャツ、長靴姿で登場した八木。市議の時、同じ会派に属し市長選でも推した神戸とは、今回はライバル関係にある。「町議、市議十六年の経験を訴えるだけ」と地元の旧木曽川町以外でも支持拡大を狙う。

 唯一の女性候補の高橋は、民主党の安井美沙子参院議員と市場内を回って店主らと談笑した。改選前の県議会では女性議員はわずか九人。四選を目指す今回は「女性の視点に立った政策に取り組む」と訴える。

 最後に市場を訪れたのは岩村。海部俊樹元首相の秘書を務め、これまでの県議六期の間に築いた地盤はあるが、「まだまだ市内には空白区がある」。支持拡大に余念がない。午後には大村秀章知事の応援も受けた。

 四年前はトップ当選だった木藤も、今回は危機感いっぱい。午前十時すぎ、スーパー前で街頭演説し、「保守乱立や共産の躍進、低投票率の影響は必ずある。きちんと票を固めないと」と気を引き締めた。

 朝からの雨は午後に入ってもやまない。

 午後二時、板倉は個人演説会で「弱い人の立場に立った政治が必要」。昨年末の衆院選愛知10区に出馬し、市内だけで一万五千票を得た“勢い”を持続させ、党として十二年ぶりという議席奪還を目指す。

 「甘い地方議会・議員が財政を苦しめる。議員がまず身を切るべきだ」。午後三時、安田は南部の住宅地で車を降り、こう力を込めた。維新初の議席を得るには浮動票を取り込めるかが鍵。この日も市内全域を回った。

 (太田理英子)

 =文中敬称略、名簿は届け出順

 ◇一宮市(五…8)

岩村進次60 会社役員  自現<6>

木藤俊郎58 党県幹事長 公現<3>

神戸健太郎55 (元)商社員  無新=自

板倉正文57 (元)市議   共新

八木丈之51 物流会社長 自新

犬飼万寿男59 会社社長  自新

高橋正子56 出版社社長 民現<3>

安田誠50 (元)民放社員 維新

◆自民盤石、他陣営危機感も 春日井市選挙区

 定数四に六人が立った春日井市選挙区で、盤石な戦いぶりといわれているのは自民の二候補だ。

のぼりを立てた自転車に乗り支持者と握手する候補者(左)=5日、春日井市で

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 神戸は「女性の活躍推進」を公約に掲げる。告示の三日、市内のスーパー前で「四人の子どもを育ててきた経験と、幼稚園を経営する立場から、働く女性が活躍できる社会を整備することが私の使命」と強調した。今回からは、昼間に個人演説会を開くことに。「夜よりも参加してくれる人数は多い」と手応えを感じている。

 伊藤は「前回と顔触れは同じ。戦い方は分かっている」と冷静。地道に支援者、企業を回って支持を固める。副議長就任後は地元に帰って来ることができなかったと、個人演説会では応援弁士の数を減らし、支援者と接する時間を長くしている。「皆さんに恩返しできるよう、もう一度県政へ送り出してほしい」と頭を下げた。

 四日、水野は花見客でにぎわう公園などを自転車で巡り「身を切る改革、実のある改革を」と呼び掛けた。二度目の挑戦となる今回、減税日本からくら替えして維新の公認候補として出馬した。前回は八百三十九票の僅差で涙をのんだが、「同じ選挙で二回負けたら、お前は必要ないということ。最後のつもり」と決死の覚悟だ。

 「今までで一番反応がいい」と笑顔で語るのは五度目の出馬となった柳沢。昨年の衆院選での共産の躍進を追い風に、年明けから積極的に駅前などで街頭演説を繰り返し、支持層を広げてきた。五日、市内の公民館では「“オール与党県政”は大型開発ばかりに予算を充てる。唯一の野党の議席が必要」と訴えた。

 一方、危機感を強める陣営も。

 四年前は与党候補だった民主の日比は「野党に転落した今回、風向きは厳しい」と気を引き締める。四日夕、花見客が集まる市内の公園を訪れた。満開の桜を楽しむ親子連れを見つけると、駆け寄って「子育て支援、しっかりやりますからね」とアピールした。「地元の声を届けてきた実績を訴えるしかない」と話す。

 議席死守を目指す市川陣営は「共産党にも勢いがあり、決して安泰ではない選挙」と現状を分析する。市川は「自分のことをもっと知ってもらわないと」と、県営住宅やスーパーなどでの街頭演説に力を入れる。ため池の修繕など、防災に力を入れてきた実績を地道に語り掛け、無党派層の掘り起こしに躍起になっている。

 (佐久間博康、蓮野亜耶)

 =文中敬称略、名簿は届け出順

 ◇春日井市(四…6)

柳沢けさ美65 党県委員  共新

伊藤勝人69 県副議長  自現<3>

水野義彦56 (元)市議   維新

市川英男48 党県役員  公現<1>

日比雄将41 中電社員  民現<1>

神戸洋美59 幼稚園長  自現<3>