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健康が一番大事/納得できない 聖火リレー中止

JR松本駅前にある聖火リレー開催を知らせる横断幕=松本市で

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 東京五輪の聖火リレーの県内開催が四月二、三日に迫った二十四日、大会組織委が五輪の延期に合わせてリレーの中止を表明した。「健康が一番大事」「納得できない」。突然の方針変更への賛否が県内のランナーに交錯した。

 「世界中で新型コロナウイルスがまん延して死者も出ている。中止は仕方がない」。聖火リレーの出発点となる軽井沢町の村岡清一さん(96)は冷静に受け止める。最高齢ランナーとして町内のコースを走り、本番に向けて準備してきた。「ランナーに決まってから今日まで良い夢を見させてもらった。それだけでありがたい」と話す。

 東日本大震災で被災した福島県いわき市から走行ルートの上田市に移住した中学生の中沢海里さん(15)は「元気に走る姿を福島の親族や友人たちに見せたかった」と残念がり、白馬村の旅館経営丸山俊郎さん(45)は「選手の不安に比べれば私たちはたいしたことではない。一番大変なのは選手」と思いやった。

 初日のゴール地点の長野市では、脳性まひで両手が不自由な冨永房枝さん(56)がランナーに選ばれていた。「応援してくださっている方や準備をしてくださった方、友人、家族の気持ちを考えると残念でなりません」と肩を落とした。

 二日目のスタート地点となる飯田市の児童養護施設職員安藤民平さん(43)は市内を走りながら虐待防止を啓発するつもりだった。「延期の選択肢はなかったのか」と疑問を投げ掛け、「少しでも明るいニュースを届けたかったので納得できない」とうなだれた。

 元モスクワオリンピック陸上長距離代表の伊藤国光さん(65)は伊那市内を走る予定だった。「聖火リレーが福島で出発する前に(見送りの)知らせが出ると思っていた。再び聖火リレーをやるようであれば参加したい」と淡々と話した。

 諏訪市内のランナーで下諏訪町のうなぎ店経営林美奈さん(52)は「落胆以外の何ものでもない。本当に悲しい」と悔しさをにじませながら「皆が聖火をつないで初めてリレーといえる。五輪が延期ならリレーも延期を」と苦言を呈した。

 「五輪は平和を願う祭典。リレーで感染リスクが高まるのは避けないといけない」と話すのは、安曇野市内を走る予定だったアトランタ五輪マウンテンバイク選手の小林可奈子さん(49)。「リレーを走りたい気持ちはあるが、まずは家族らみんなを守ることが大事」

 同じく市内のランナー、会社員ムーン・ステファニーさん(42)は、生まれ育ったフランスの国旗や応援メッセージを書いた看板を友人が用意してくれた。「応援してくれた仲間もいるので残念」と表情を曇らせ、「仕方がないけど、健康が一番大事。組織委の判断には賛成」とやるせなさそうに語った。

 二日間のリレーを締めくくる松本市で、ランナーに選ばれていた槍ケ岳山荘従業員穂苅大輔さん(34)は「仕方がない」と理解を示しつつ、「こんな状況では誰も当初の予定通りやるとは思ってない。組織委の決定次第でさまざまな人たちが対応を左右されてしまう」と組織委の対応の遅れを批判した。

 (安永陽祐、二神花帆、飯塚大輝、松本貴明、大塚涼矢、日下部弘太)

 

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