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8日から休業中、飯田・かぐらの湯 南信濃振興公社が撤退

休業が続き、駐車場が閑散としている「かぐらの湯」=飯田市南信濃で

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 飯田市から指定管理を受け、同市南信濃の道の駅にある日帰り温泉施設「かぐらの湯」を管理・運営していた一般財団法人飯田市南信濃振興公社が、経営難などを理由に三月末で運営から撤退することが分かった。四月からしばらくの間、施設を所有する市が直営する方針だが、施設はメンテナンス期間中に起きた源泉から湯を送るパイプの故障で八日から休業しており、再開のめども立っていない。

 かぐらの湯は二〇〇〇年、合併前の旧南信濃村が開設した。〇五年の飯田市との合併時に、市側が公社を指定管理者に選定。管理費として年約一千万円に加え、改修やメンテナンス料を負担していた。遠山郷観光の中核を担い、一一年からは塩分を含む泉質を生かした温泉トラフグの養殖に取り組むなど注目を集めた。

 しかし、ピーク時は年間十一万人だった来館者は、一八年度は約六万五千人と低迷。一方で、人件費や燃料費は増加し、老朽化もあって一七年度から二年連続の赤字で、一九年度も赤字が見込まれる。回復が見通せない中、地域からは経営に対する不満の声もあり、公社は昨年末、今の指定管理契約の期限となる一九年度末以降の継続は困難と判断した。

 市側は「現段階で新たな管理者を見つけるのは困難」と直営の理由を説明。営業規模を縮小し、併設の直売所や食堂、フグの養殖は休止とする。

 現在二十二人いる従業員は解雇となるが、一部の再雇用や再就職を支援する姿勢だ。

 市幹部によると、公社は遠山郷土館など他に管理・運営する三施設の運営からも撤退。幹部は「こういった事態に至るまでに指定管理者とのコミュニケーションをもう少ししっかりすべきだった」と反省も口にした。

 その上で、かぐらの湯について「三遠南信道時代の重要な南の玄関口」との立場から、近く地元住民を加え公社の経営を検証する組織を立ち上げ、新たな指定管理者も検討する考えを示した。

◆地元、早期再開求める声

 パイプの故障により八日から当面の間休業している「かぐらの湯」。閑散とした駐車場には、休業を知らずに訪れた観光客の姿も多く見られた。温泉のある道の駅として中京圏を中心に人気が高く、休業が長引けば遠山郷観光への打撃も避けられない。重要な観光資源である河津桜のシーズンも控えており、地元からは早期再開を求める声などが上がった。

 「仕方がない。風呂は諦めるか…」。十二日午後、友人二人とかぐらの湯を訪れた浜松市の浅野宣一さん(75)は、残念そうに車に乗り込んだ。かぐらの湯に隣接し、ジビエ料理などを提供する「食楽工房 元家」も客足はまばら。店主の片町元彦さん(44)は「温泉目当ての人がよそへ行き、昨年同期より三分の一ほど客足が減った」と嘆いた。

 宿泊客にかぐらの湯での入浴を案内していたペンション「かぐら山荘」は、八日から二月下旬まで十泊分の予約がキャンセルに。主人の岩瀬憲司さん(42)は「シーズンオフだったのが幸い。ツーリングや登山目的で来るお客さんにとって温泉はプラスの選択肢になる」と、早期復旧を願った。

 市によると、メンテナンス期間中、市が発注したポンプを取り換える工事の際、パイプのつなぎ目が外れていることが判明。湯を温泉施設へ送ることができなくなったという。かぐらの湯と同じ源泉を引く近くの「大島屋旅館」は、源泉が引けなくなり、水道水を沸かして対応中。三浦慈子代表(55)は「五月の大型連休やお盆も既に予約が入る。復旧の見通しが立たなければ宿泊客に説明しなければならない」と不安を口にした。

 遠山郷観光協会の近藤力夫会長(64)も「かぐらの湯は地域にとって重要な施設。休業の周知や影響への対策を考えたい」と話した。

 (伊勢村優樹、寺岡葵)

 

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