トップ > 長野 > 1月10日の記事一覧 > 記事

ここから本文

長野

伝統を継ぐ2馬力 木曽馬の香澄号・若菜号、訓練奮闘中

昨年11月、中川場長と馬耕の練習をする若菜号=木曽町開田高原の木曽馬の里木曽馬乗馬センターで

写真

 木曽町開田高原の「木曽馬の里 木曽馬乗馬センター」で飼育されている香澄号(牝馬、10歳)と若菜号(同)が、馬が引っ張るすきで田を起こす「馬耕」や、木材を引きずりながら運ぶ「馬搬」の訓練を重ねている。昨年10月に腸捻転で死んだ空号(牝馬、17歳)の後を継ぎ、木曽馬文化を発信しようと奮闘している。

 乗馬センターでは年間を通し、近くの小学校や郡内外のイベントで馬耕や馬搬を紹介して文化を伝えている。空号は十年ほど前から馬耕、馬搬ともほぼ一頭で担っていたが、死んだことを受けて十一月から後進の育成に乗りだした。センターで飼育する三十七頭のうち、馬車を引いた経験がある香澄号と体格が大きい若菜号が選ばれた。

 香澄号はここ三年間で出産と育児が続いたため、まずは餌を増やして体力作りに励んでいる。若菜号は馬耕などは初挑戦で、乗馬センターの中川剛場長(42)と馬耕用のすきやそりなどを引く練習をしている。

 馬耕や馬搬は、馬体の後ろに人や荷物がくることで馬の気が散るといい、指示を出す中川さんとコミュニケーションを図る特殊な訓練が必要という。中川さんは「私と一緒なら、どんな状況でも安全なのだと馬に理解してもらうことが大切」と話す。

 若菜号は体高一四二センチ、体重四八〇キロと木曽馬の平均より大型で、力強く荷物を引くことができるが、周囲を気にする性格で不安もあったという。中川さんによると、群れのリーダー格で危険を早く察知するための気質で、訓練を重ねることで徐々に改善されてきた。先月の岐阜県美濃市でのイベントでは子どもと触れ合い、八十キロの木材を運ぶことができた。

 毎年四月に地元の開田小学校で馬耕体験会があり、今年はどちらか一頭を派遣できる見通しがたった。中川さんは「香澄号と若菜号の二頭体制で、地元を含めてさらなる馬文化の認知度アップにつないでいきたい」と意気込んでいる。

    ◇

◆気分は馬主、サポート証登場

木曽馬保存サポートオーナー証の発券機。脇には厩舎の並び順に木曽馬の写真を掲げている=木曽町開田高原の木曽馬の里木曽馬乗馬センターで

写真

 木曽町は、木曽馬の保存・活用に使う協力金を募るための「木曽馬保存サポートオーナー証」の発券機を、同町開田高原の「木曽馬の里 木曽馬乗馬センター」に設置した。県地域発元気づくり支援金を活用した。

 サポートオーナー証は三百円で、木曽馬の写真が載った縦五・四センチ、横八・六センチのプラスチック製のカード一枚がもらえる。裏には好きな馬の名前を書く欄があり、所有権などは発生しないが「馬主の気分を味わえる」ようになっている。

 乗馬センターでは、発券機の脇に厩舎(きゅうしゃ)の並び順に木曽馬の一覧表を作り、記入する馬を選べるようにした。先月二十五日から設置し、これまでに三十枚ほど購入されたという。

 乗馬センターでは以前、木製の「寄付金箱」を置いていたが、意図が分かりにくく目立たないとの指摘があった。入場料の徴収も検討したが「気軽に立ち寄ってほしい」との思いもあり、サポートオーナー証を発行することにした。

 町開田支所の担当者は「サポートオーナー証をきっかけに木曽馬との距離感を縮めてもらえれば」と話す。春までに木曽馬の保全を呼び掛ける観光客向けの看板を、乗馬センター入り口付近に設置する。

 (中田弦)

 【土平編集委員のコメント】 今日紹介したのは、長野県全域を対象にした信州版の記事です。長い歴史があり、かつては農耕用などのほか、武士も乗ったと伝わる木曽馬。一時は全滅寸前になりましたが、地元の保存活動で、なんとか持ち直しました。地元では木曽馬文化の発信を続けていますが、「馬耕」や「馬搬」には、やはり訓練が必要なようです。記事には「馬体の後ろに人や荷物がくることで馬の気が散る」とあり、なるほどと納得しました。4月の小学校での体験会で、子どもたちの歓声を浴びる姿が目に浮かびます。

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索