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蓼科高原舞台に狂言師の親子描く 県内5カ所で映画上映

父基誠(左)から狂言を教えられる康誠=桜映画社提供

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 諏訪地方の蓼科高原を舞台に、狂言師の親子の絆などを追った映画「よあけの焚き火」(土井康一監督)が11日から、飯田市や山形村など県内5カ所で上映される。伝統芸能を伝えることを運命づけられた少年と、家族を失った少女の交流や成長を、雪の大自然とともに情緒豊かに描いている。

 六百五十年の伝統を持つ狂言師・大藏家に生まれた十歳の康誠(やすなり)。積雪期の蓼科の山中の家屋で、父基誠(もとなり)の指導を受ける。二人の姿を、心に傷を負った地元の中学生・咲子が見つめる。康誠と咲子の思いが少しずつ静かに交差していく−。

 大藏家の親子は実在の狂言師。事実と創作を行き交いながら、「伝えること」の意味を問う。土井監督は「康誠と咲子は、漠然とした未来ではなく、地面を踏み締めて歩く。その姿にこそ希望がある」と話す。

 舞台に蓼科高原を選んだのは、土井監督自身が家族とたびたび訪れ、美しい環境に親しんできた縁から。

 茅野市や諏訪市での撮影は二〇一八年三月二十日から約一週間。茅野市から、朝倉詩星美(しほみ)さん(当時中学三年)と、大畑凜花(りんか)さん(同小学六年)がオーディションで選ばれ、咲子の友人の役で出演した。

 諏訪地方の有志でつくり、映画やドラマの撮影に協力する団体「諏訪圏フィルムコミッション(FC)」(諏訪市)が協力。撮影スタッフのため、温かいそば炊き出しなどに毎日のように駆け回った。FCスタッフの宮坂洋介さん(40)は「日中でも零度を超えれば暖かい方。出演者らの体を暖め、笑顔をつくってもらいたかった」と振り返る。

 一八年九月に、第二十一回小津安二郎記念蓼科高原映画祭で初めて披露。映画館での上映は、今年三月に東京都内で始まった。

 「康誠君のとてもきれいな目、優しい声にひかれた」(俳優の柳楽優弥さん)、「描写の静かさは、まるで小津安二郎の映画のよう」(作家の鎌田実さん)と反響が広がっている。

 プロデューサーの村山憲太郎さん(42)は「冬から春に向かう信州の高原の空気感を映画に生かせた」と話している。

 県内での上映は、飯田センゲキシネマズ(飯田市)とアイシティシネマ(山形村)のほか、岡谷スカラ座(岡谷市)、長野相生座・ロキシー(長野市)、佐久アムシネマ(佐久市)で。さしあたり、十一日から二週間ほどの予定。(問)桜映画社=03(5846)9100

 (林啓太)

 

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