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歴史重ね、輝く今 四日市コンビナート夜景

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 無数のライトが張り巡らされた無機質な構造物は、夜闇に存在感と重厚さを際立たせる。四日市観光の柱として近年、急成長しているのが、コンビナートの景観を活用した工場夜景だ。経済をけん引し、豊かさをもたらした半面、公害問題を生じさせた。幻想的な夜景は、表面的な美しさだけではない。光と影の多面性を持ち、人間の深いところにまで届く光でもある。

 四日市市の東京事務所で2009年、市出身者による座談会があり、出席者が「四日市」を語った。「赤白の煙突を見ると、四日市に帰ってきた気がする」。今でこそ全国有数の知名度を誇る四日市の工場夜景。始まりはこの座談会だった。

 東京事務所は、地の利を生かしたシティーセールスやプロモーションに力を入れ始めたころ。世間では、工場の構造美や機能美に着目した写真集「工場萌え」が大ヒットをし、工場景観鑑賞が注目されていた。

 四日市のカットが多く、「全国の工場鑑賞家憧れの地」と表現されていた。東京事務所は写真集の写真家石井哲さん、ライターの大山顕さんに接触。座談会開催の翌10年1月、2人に東京事務所で「工場景観」を語ってもらった。

 その後、官民連携でコンビナートの景観を観光資源として活用することを検討。商工会議所が中心となり、講演会や鑑賞会を開催した。同年6月にコンビナート夜景クルーズのモニターツアーを企画し、同年7月には観光協会主催のコンビナート夜景クルーズの定期開催が始まった。5年目に乗船者数1万人を達成するなど人気が定着した。

 夜景クルーズを開催している四日市、川崎、室蘭、北九州の4都市で立ち上げたのが「全国工場夜景サミット」だ。11年2月の初開催以降、参加都市数は増え、都市間連携、交流も活発化している。

 「公害を風化させないきっかけにもなっていると思う」。こう話すのは市広報マーケティング課の水谷留尉課長補佐。近鉄四日市駅近くには「四日市公害と環境未来館」もあり、環境学習や公害の教訓を知る場としての伸びしろがある。「現在の四日市を知ってもらいたい」。そんな思いも夜景観光には込められている。

 (梅田歳晴)

 【土平編集委員のコメント】今日紹介したのは、三重県全域を対象にした広域三重版の記事です。四日市市には2007年から2009年にかけて勤務しました。夜、海沿いの国道23号を車で走ると、コンビナートの光の美しさに圧倒されたことを覚えています。「工場萌え」という言葉が出始めたころだったでしょうか。コンビナートの夜景が「観光資源になる」との声がある一方で、「公害被害者もいることを配慮して」との意見もありました。あれから10年。夜景クルーズはすっかり定着したようです。市の担当者は「公害を風化させないきっかけにもなっている」と話しています。その思いは忘れてはいけないと考えます。

 

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