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脳性まひの山口さん、1人暮らし40年 12月に四日市で講演

三重大の学生らと談笑する山口さん(中)=四日市市伊倉で

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 脳性まひを患い、手足が不自由でありながら四十年間、一人暮らしをする四日市市伊倉の山口さよさん(73)。三重大の学生バイトや卒業生が交代で食事や掃除、買い物に付き添い、同じ時をゆっくりと過ごす。「人を信じてここまできた。障害者の一人暮らしが当たり前になってほしい」と願う。十二月八日には四日市市の人権イベントでこれまでの思いを語る。

 大阪府出身で、生後まもなく高熱の後遺症で脳性まひになった。二十五歳ごろ、家庭の都合で菰野町杉谷に引っ越し、三十二歳で一人暮らしを決心。「親に負担をかけたくない。たくさんの人が関われば自立できる」。当時通っていた四日市市の手話サークルのボランティアと家を探し、引っ越し後に親に報告した。

 入居した市内のアパートの住民はごみ出しを手伝ってくれ、ご飯もお裾分けしてくれた。「一緒に飲みに行ったこともあった。お酒強いんですよ」。当時、県内で重度障害者の一人暮らしは珍しく、知人の三重大教育学部の講師が、学生を勉強のために連れて来た。それから学生の付き添いが始まった。

 現在は四日市看護医療大の学生を含む二十人が交代で見守る。タブレット端末やテレビのリモコンを操作をしたり、趣味の詩の口述筆記をしたり。料理は山口さんが指示する分量と手順で調理する。

 付き添って八年の水谷宏江さん(27)は「さよさんのおかげで料理の腕前が相当上がった」と笑う。三重大教育学部一年から加わり、子育てで二〇一六年から一時離れて今年三月に復帰。「介護の意識はなく、お風呂も食事も一緒に生活している感じ」と話す。

 山口さんは、社会での障害者の受け入れはまだ不十分だと感じており「人の関わりが減って、ゆとりがなくなっている」と心配する。十二月の講演では「ちょっとした関わりがあれば人と人の触れ合いは見つかる。人を信じること」を伝えたいという。

 講演会は午後一時から、四日市市安島二の市文化会館で開かれる「じんけんフェスタ2019」の一環で実施する。(問)市人権センター=059(354)8609

(高島碧)

 【土平編集委員のコメント】 今日紹介したのは、三重県全域を対象にした三重総合版の記事です。地方版を読んでいると、市井の人たちのキラリと光る言葉と出合うことがあります。そんな時、得をしたなあとうれしくなります。脳性まひで手足が不自由ながら40年間、一人暮らしをしてきた山口さんの「人を信じてここまできた」との言葉に、「今日もまた得をした」と思いました。付き添って8年の水谷さんの「さよさんのおかげで料理の腕前が相当上がった」も見事なコメント。押し付けがましくなく、二人の関係が伝わってきました。

 

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