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東芝メモリ、キオクシアに社名変更 四日市工場、今後も屋台骨

(上)新社名のロゴ「KIOXIA」に看板が変わった四日市工場の管理棟=四日市市山之一色町で(下)フラッシュメモリーを生産する四日市工場のクリーンルーム=キオクシアホールディングス提供

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 半導体大手の東芝メモリホールディングス(HD、東京)は、一日付で社名を「キオクシアホールディングス」に変更し、新たなスタートを切った。中核事業会社「東芝メモリ」も「キオクシア」となった。四日市工場(四日市市)は、大容量を記録するNAND型フラッシュメモリーの生産で世界最大規模を誇る。さらに最新鋭の製造棟を建てる戦略が温められており、引き続きグループの屋台骨となる。 

 赤い「TOSHIBA」から、シルバーの「KIOXIA」に−。四日市工場の管理棟に一日、新社名のロゴがお目見えした。対外的なセレモニーはなかったが、松下智治工場長が四日市市役所を訪れ、森智広市長に社名変更を報告した。森市長は取材に「今後も地域密着で頑張ってほしいと伝えた。四日市と良好な関係を築くことを確認した」と語った。

 新社名のキオクシアは、日本語の「記憶」とギリシャ語で「価値」を意味する「アクシア」を組み合わせた。鈴木英敬知事は「社内公募したと聞くが、事業に非常にマッチし、新しい姿に変わっていく意気込みを感じる」と期待感を示す。

 キオクシアHDは「記憶で世界をおもしろくする」を使命に、「新しい価値を創造し世界を変えていく存在を目指す」とする。

 経営再建中の東芝から分社して二〇一七年に設立。一八年に米投資ファンドなどの「日米韓連合」が東芝から買収し、今年四月に持ち株会社制へ移行した。年間売上高は一兆円を超え、東京証券取引所への株式上場を見据えている。

 ただ、メモリー市場の低迷から一九年四〜六月期連結決算は、本業のもうけを示す営業損益が九百八十九億円の赤字と大幅に悪化した。しかも四日市工場が六月に起きた停電で操業を一部停止し、三百四十四億円の減益要因に。七月中旬にほぼ復旧したが、七〜九月期も影響は残る見通し。

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 市況に左右されやすいものの、NAND型フラッシュメモリーは、スマートフォン(スマホ)のメモリーカードなどに使われている。さまざまな機器が通信でつながる「モノのインターネット」が進む中、データセンターなど情報インフラにも用途が広がった。

 四日市工場では現在、データセンター向けの生産は、スマホなど端末向けとほぼ同量で、米四大IT企業「GAFA」のデータ保存向けも手掛けているという。昨年秋に最新の第六製造棟が稼働を始め、今年四月現在で六千七百人の正規従業員が働いている。

 工場内でガス機器の保守点検をしているジャパンマテリアル(菰野町)など、関係企業も多い。第七製造棟の建設構想をはじめ、先行きが注目されそうだ。

◆定年を65歳に延長 正規従業員

 キオクシアは、社名変更に合わせ、正規従業員の定年を六十歳から六十五歳に延長する。これまでは定年後に嘱託として再雇用していたが、今春の労使交渉で定年延長することで労働組合と合意していた。

 同社は「六十歳前後は経験豊かな人が多く、引き続き会社の力になってほしい」と期待している。

 六十五歳定年制は、大手では鈴鹿市に工場を持つホンダなどが移行済み。JR東海(名古屋市)は来年四月から導入する予定。

 三重労働局の昨年六月時点の集計では、六十五歳定年を導入している県内の企業は三百四十九社と、前年から二十六社増えた。集計対象(常時雇用三十一人以上の二千三十四社)の17%に当たり、中小企業の増加が目立つ。

◆業績動向、県内にインパクト

 三十三総研の佐藤聡一郎研究員は「キオクシアの業績動向は県内に相当なインパクトがある」と指摘する。

 半導体を含む電子部品・デバイスなどの県内の製造品出荷額は二〇一七年に一兆九千九百七十三億円と全国一位。うち56%を四日市市が占め、大半がキオクシア四日市工場からとみられる。四日市市分は一四年と比べ三千億円ほど増え、県内比率も約15ポイント上昇した。

 半導体メモリー市場は一八年半ばをピークに下降局面へ。スマートフォン需要の減速、データセンター向け投資の一巡に加え、米中貿易摩擦を背景にした世界の貿易量減少が足かせになった。ただ、最新の生産統計から、市況は一九年半ばに底を打ったと考えられるという。

 佐藤さんがリスク要因に挙げるのは米中貿易摩擦の動向だ。「IT需要が再び減速に向かえば、話は変わってくる」とみている。工場の稼働が減れば、周辺の関連企業の生産減を招き、地域の雇用も減る恐れがある。工場に出入りする人の動きが少なくなれば、飲食店やホテルなどにもマイナスに働く。

 もっとも次世代通信規格「5G」や自動運転の普及が進めば、「需要は再び拡大する」と展望する。

 (後藤隆行、高島碧、熊崎未奈)

 

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