トップ > 暮らし・健康 > 暮らし一覧 > 記事

ここから本文

暮らし

苦手な物、一緒に食べて 小学校高学年までがカギ

一緒に昼食を食べる松下さん親子=名古屋市西区で

写真

 今日のご飯は何を作ろう…。献立を考えるのはただでさえ大変だが、子どもに好き嫌いが多いと保護者の悩みはさらに深まる。せっかく作った料理を残され、がっかりすることもあるだろう。好き嫌いは幼いころの食事と深い関係がある。食べさせ方を工夫し、苦手になりがちな野菜ももりもり食べられるようにするには。

 子どもが嫌う食べ物の多くは苦い物や酸っぱい物。飲食店情報サイトを運営する「ぐるなび」(東京)が二年前に行った調査によると、回答した全国の小学生約八百二十人の嫌いな食べ物の上位三位はゴーヤー、セロリ、ピーマンと苦味のある野菜が独占した。

 「苦味は、みんなが生まれつき苦手」と話すのは、子どもの食と栄養に詳しい帝京科学大教授の上田玲子さん(66)だ。自分の体を守ろうとする本能によって苦味は毒物、加えて酸味は腐った物と認識し、赤ちゃんの時から食べるのを避けようとするからという。

 反対に、体を維持するのに必要な食べ物は誰もが好んで食べる味だ。糖分の甘味は体温を上げたり、力を出したりするエネルギー源の味。牛乳や肉は筋肉や血液をつくるタンパク質源のうま味が強い。塩味も好むが、濃すぎると敬遠するように。体内の塩分濃度を調整しにくくなるからだ。

 苦味、酸味、甘味、うま味、塩味の五つの味に最も敏感なのは生まれてすぐのころ。離乳食が始まる生後五、六カ月から次第に鈍くなっていき、さまざまな味を受け入れやすい状態に。それから先は、本能的な好き嫌いから、学習による好き嫌いへと変わっていく。好き嫌いがほぼ固定化する小学五、六年生ごろまでに克服するのが望ましい。

 上田さんが勧めるのは、離乳食の時から親子で一緒に食事を取る「共食」だ。「親がピーマンなどの苦い物をおいしそうに食べる姿を見せ、『毒じゃないよ。食べても大丈夫』という安全情報を与えれば子どもは安心して食べようとする」

 名古屋市西区の松下千笑(ちえみ)ちゃん(1つ)は生後五カ月から離乳食を始めた。好物はゆでニンジンだ。毎日三食とも一緒に食べる母親のようこさん(39)は、千笑ちゃんの顔を見ながら「おいしいね」とにっこり。「栄養バランスを考えていろいろな野菜を入れたおやきや、肉や魚も出している。いっぱい食べて大きくなってほしい」とほほ笑む。

 歯の生え具合にも注意が必要だ。乳歯二十本が生えそろうのは二歳半から三歳。食物繊維が多い野菜は、奥歯がないうちはかみ切れずに口から出してしまったり、喉に詰まらせたりすることもある。「味は大丈夫でも、食べにくさや怖い経験によって嫌いになる」と上田さん。野菜は細かく刻んだり、すりつぶしたり調理の仕方を工夫して食べやすくするのがポイントだ。

 もう一つ、子どもが生まれてからだけでなく、妊娠中の食生活も大事。上田さんによると、母親が食べた物の風味は、胎内の羊水や母乳を通じて赤ちゃんに伝わる。その味に慣れ親しめば自然に好きになるという。「好き嫌いがない方がいろいろな物を食べる楽しみが増え、長生きにもつながる」と上田さんは言う。

 一方で「好き嫌いも個性の一つ」と指摘する。「ニンジンは嫌いだけれど、カボチャは好き」など栄養価が似ていて代わりに食べられる物があれば、健康維持に問題はないという。「友達が食べているのを見て、嫌いだった物が食べられるようになることもある。無理強いせず、長い目で見て」と呼び掛ける。

 (平井一敏)

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索