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寺社でキャッシュレス決済 お守り、御朱印…さい銭も

お守りの上にはアリペイやウィーチャットペイなど、各種決済手段のロゴが並ぶ=名古屋市中区の万松寺で

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 キャッシュレス決済が広がる中、神社仏閣でも対応する動きが広がっている。お守りや御朱印の支払い、さらには、さい銭までキャッシュレスで供えられる神社も登場し、ポイントも還元。外国人観光客への対応や混雑の緩和など理由はさまざまだが、是非を巡り、宗教界でも議論を呼んでいる。

 お守りや絵馬、線香、ろうそくなどの近くに、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済などいくつものキャッシュレス決済のロゴマークが並ぶ。

 名古屋市中心部の大須商店街にある万松寺(同市中区)。一回百円のおみくじもキャッシュレスに対応しており、記者がQRコード決済のPayPay(ペイペイ)で引くと、運勢は吉。「古いものをやめ、新しいものにすればよし」とのアドバイスがあった。

 織田信長の父・信秀が織田家の菩提(ぼだい)寺として創建した古刹(こさつ)で、キャッシュレスを幅広く導入したのは二年前。広報担当の潮谷領二さん(35)によると、急増する海外の観光客への対応という。中国客の多くがキャッシュレスでお守りなどを買っていくといい、中国の主要なQRコード決済のAlipay(アリペイ)、WeChatPay(ウィーチャットペイ)も導入した。

 同市北区の別小江(わけおえ)神社も半年前、御朱印の頒布などでキャッシュレス決済を開始。季節限定のカラフルな御朱印は全国にファンが多く、混雑時には授与所の前に百メートルほどの列ができ、暑い日には参拝者が熱中症で搬送されたケースも。キャッシュレス導入後はお釣りの手間が省け、混雑の緩和につながったという。

さい銭を受け入れるさるぼぼコイン(手前)と、オリガミペイのQRコードを紹介する田中さん=岐阜県高山市の黄金神社で

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 さい銭をキャッシュレスで受け付けている神社もある。お金の神様をまつる岐阜県高山市の黄金(おうごん)神社は、六月から飛騨地方の電子地域通貨「さるぼぼコイン」と、QRコード決済のOrigami Pay(オリガミペイ)に対応。いずれもスマートフォンのアプリで、さい銭箱の前に置かれたQRコードを読み取り、金額を入力すれば、さい銭を入れることができる。

 オリガミペイは来年一月まで、決済方法によって最大3%が値引きされるキャンペーンを開催中。記者が百円分のさい銭を入れると3%にあたる三円が“還元”された。宮司の田中宏さん(42)は「神社では昔から、その時代の最先端の技術が奉納されてきた。おかしなことではない」と話す。

◆「宗教行為」線引き巡り議論

 一方、お守りやお札の授与、御朱印の頒布、さい銭の奉納などは代金を支払って買う商品やサービスではなく、「宗教行為」とみなされている。個人情報の保護や、商行為との線引きを巡りさまざまな議論がある。

 京都仏教会は六月、さい銭などの宗教行為にキャッシュレスで対応することに反対する声明を発表。信者の個人情報が第三者に知られるおそれがあり「信教の自由が侵されたり、宗教統制、弾圧に利用されたりする」などと懸念を示した。

 また、キャッシュレスでは決済事業者への手数料が発生する。現在、宗教法人が行う宗教行為は非課税だが、税務当局が収益事業とみなせば、課税を招く恐れがあることにも言及した。全日本仏教会と神社本庁も「議論している」という。

 法的にも明確な規定はなく、決済事業者でも対応が分かれる。ペイペイの運営会社は「代価の弁済の利用に限る」として、お守りや御朱印、おみくじなどには使えるが、さい銭や寄付は認めていない。一方、オリガミペイは、さい銭や祈祷(きとう)での利用は可能だが、布施は禁じている。

 (河郷丈史)

 

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