トップ > 暮らし・健康 > 暮らし一覧 > 記事

ここから本文

暮らし

口腔がん早期発見、定期的な歯科受診が有効

丸い鏡の付いた器具を使い、見えにくい上顎などにがんの所見がないかチェックする歯科医師(右)=愛知県岡崎市の岡崎歯科総合センターで

写真

 タレントの堀ちえみさん(52)が公表して注目された舌がんをはじめ、口の中にできる口腔(こうくう)がん。進行すると、手術で切除する範囲が大きくなり、食べる、話すといった口の機能が損なわれ、生活に大きな影響を及ぼす。早期に発見すれば治る可能性も高いため、検診の実施や定期的な歯科受診を呼び掛ける試みが広がり始めている。

 11月上旬、愛知県岡崎市の岡崎歯科医師会の施設であった口腔がん検診。口の中を50以上の部位に分け、受診者1人につき、研修を受けた歯科医師と口腔外科の専門医が順に、粘膜が赤くなったり白くなったりするがんの前段階(前がん病変)、しこりや痛みの有無を確認していく。

 この日は、約30人が受診。50歳の男性会社員は右下奥歯の歯茎に、小さな白い点が見つかった。しかし、がん特有の硬さがないことなどから、判定は「異常なし」。男性は「運動や食事などがん予防の対策も実践したい」と話した。

◆国指針に含まれず

 国は、胃がん、子宮頸(けい)がん、肺がん、乳がん、大腸がんの5つについては、市町村の事業として検診が行われるよう指針を提示。その結果、検診にかかる費用の多くは公費で賄われている。一方、がん全体に占める割合が1〜2%と少ない口腔がんの検診を実施している自治体は、ほぼない。

 そうした中、岡崎市は2017年度から、健康増進法に基づく歯周疾患検診の一環として、50歳、60歳を対象に検診を実施。希望者は1000円の自己負担で受けられる。18年度までの受診者は計724人。病変の発見に役立つ蛍光観察装置も導入した結果、そのうち8人が精密検査の必要があると判定された。

 同市の検診実施に協力したのが、口腔がん治療が専門の愛知学院大歯学部主任教授、長尾徹さん(63)だ。長尾さんによると、口腔がんは約半数が舌がんで、舌の両脇に発症するケースが多い。そのほか歯茎や頬の内側、唇などにもできる。喫煙や過度の飲酒、合わない入れ歯などが主な原因とされ40代から増加。男性が患者の6割を超える。

 口腔がんは患部を直接目で見られるため、歯科医師が発見しやすいのが特徴。赤や白の斑点、しこりのほか、長引く口内炎は要注意だ。早期がんで発見できれば、9割以上が治る。しかし、実際はステージ3以上の進行がんで見つかる患者が半数以上。初期は痛みなどの自覚症状がほとんどないことに加え、途中から急速に増大することなどが原因として考えられるという。

 発見が遅れると首のリンパ節に転移したり、顎の骨の中にがんが入り込んだりすることも。舌や顎を大きく切除すれば、口の機能に障害が残るほか、顔だちが変わって社会復帰が難しくなる例も少なくない。死者も年間約3000人に上る。こうした実態を受け、口腔外科の医師らが2年前に設立したのが「口腔がん撲滅委員会」(東京)だ。11月を口腔がん啓発の推進月間と定めて運動している。

◆歯科医師に研修も

写真

 効果的なのは、一般の歯科で疑わしい例を見つけて専門病院に紹介、早期に診断する仕組みづくり。各地の歯科医師会や自治体も力を入れ始めた。見落としなど歯科医師による力量の差をなくそうと、愛知県歯科医師会は本年度中に、検診に関する会員向けの研修を実施する。名古屋市は市民が自分で変化に気付けるよう、ホームページでチェックの方法を紹介している。

 国による16年の調査によると、過去1年間に歯科検診を受けた人は53%。長尾さんは「不具合がなくても、定期的に歯科で口の中の状態を確認して」と呼び掛けている。

 (小中寿美)

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索