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戦時の苦労、食卓で学ぶ すいとん作り、平和感じて

野菜入りすいとん(ベターホーム協会提供)

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 きょう十五日は、終戦記念日。食糧難の戦時中、国民の空腹を満たした「すいとん」を食べ、平和の大切さを学ぶ催しが各地で開かれる。家でも家族みんなで作って味わうことで、戦争について考えたい。

 「すいとんの材料はトウモロコシの粉や米ぬか。メリケン粉(小麦粉)と違って固まりにくい」。戦争と平和の資料館ピースあいち(名古屋市名東区)の語り手の会、小笠原淳子さん(87)=名古屋市名東区=は振り返る。「だしもしょうゆもないから味がない」

 二〇〇九年に発足した語り手の会のメンバーは三十人余り。ピースあいちのほか小中学校などで、戦争体験を語っている。

 一九四四年春。当時、十一歳の小笠原さんは、神戸市須磨地区の海沿いに住んでいた。「塩ができるかもと思って海水を煮詰めてみた。でも燃料が足りないから中途半端な結果に。そこにすいとんを入れてみたけれど」と言葉を濁す。

 戦争末期のこの頃、主食はカボチャやサツマイモ。小笠原さんも、毎日、カボチャのみそ汁に、カボチャご飯、おかずもカボチャ。「今と違って甘くないし水っぽい」。肉も魚もなく、タンパク質はイナゴ。脚をむしっていって食べた。

 小笠原さんはその後、農村部に疎開。ある日、山での勤労奉仕の後、弁当を食べようとすると、中には腐りかけたジャガイモが二つ。周りは真っ白なご飯を食べている。「悲しかった。食べ物の恨みは忘れない」

 戦時中、そして今ある材料で作るすいとんのレシピをベターホーム協会の名古屋教室に聞いた。二つの味は全く違う。野菜も調味料もたっぷり使える今のすいとんは、平和の味だ。

◆現代の野菜入りすいとん

 【材料・4人分】鶏もも肉100グラム、ダイコン100グラム、ニンジン50グラム、ゴボウ1/2本、シイタケ2個、ネギ1/3本、コンニャク1/3枚、小麦粉1/2カップ、いりごま(黒)小さじ1、水大さじ4、だし4カップ、酒大さじ1、塩小さじ2/3、しょうゆ小さじ2

 【作り方】<1>ダイコン、ニンジンは、3〜4ミリの厚さのいちょう切りに。ゴボウは斜め薄切りにし、水にさらす。シイタケは四つに切る。ネギは1センチ幅、コンニャクはあく抜きをして薄切り、鶏肉は一口大に切る<2>鍋にだしを入れ、ネギ以外の材料を入れる。20分ほど煮て、調味料を加えて味を調える<3>小麦粉にごまを加え、少しずつ水を入れながら、とろっとした状態になるまでまぜる<4>汁を静かに沸騰させたまま、(3)をスプーンですくって落とし入れる。浮き上がってきたら、ネギを加えてひと煮立ちさせる。

◆戦時中のすいとん

 【作り方・2人分】 <1>鍋に湯600ミリリットルを沸かす<2>小麦粉100グラムにカップ1の水を少しずつ加え、とろっとした状態になるまでまぜる<3>(2)をスプーンですくって落とし入れる。浮き上がってきたらひと煮立ちさせる<4>しょうゆ少々を加える。

◆「野菜の枯葉も食材に」 

婦人雑誌が語る食糧難

戦争初期、彩り豊かな料理が並ぶ「主婦之友」(ピースあいち所蔵)

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 食は人々の暮らしぶりを映す鏡。戦時中の婦人雑誌を年を追って見てみよう。

 一九四〇年四月の「主婦之友」の付録は「魚の洋食経済料理の作方集」。この年、砂糖は切符制になった。翌年には国の呼びかけで毎月二回、精肉店と飲食店での肉販売を禁じる「肉なしデー」が始まる。ヒラメのホウレンソウ巻き、サバの蒸し焼きなど魚料理の紹介は、既に肉がぜいたく品と見られていた表れか。ただ、「まづ生きのいゝ大き目の鯖(さば)を選んで」など、まだ鮮度を気にする余裕がある。だが、戦争の長期化で経済統制が強まる中、物不足は顕著に。四四年七月の「主婦之友」は、野菜についてこう呼び掛ける。「刻んだり、洗ったり、火にかけたりして、折角の貴重な栄養分をなくしてはゐませんか」、「枯葉、根、皮などをむざむざと捨てゝはゐませんか」

 「戦下のレシピ」の著者で、戦時中の食生活に詳しい文芸評論家の斎藤美奈子さん(62)は「終戦前の二年間は特にひどかった」と指摘。「食べることは生きる基本。ひとたび戦争になると、非人道的な生活が続くことを知ってほしい」

 (長田真由美)

 

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