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<縁のカタチ 多様な性> 弁護士夫夫(下)

多様性を示す虹色の旗やのぼりを掲げ、パレードする「名古屋レインボープライド」の参加者ら=7月7日、名古屋市中区で

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 「ハッピープライド!」

 七月七日夕、休日でにぎわう名古屋市の繁華街・栄で、虹色の横断幕や旗を掲げた大勢の人が、声を上げながら大通りを歩いた。

 性的少数者(LGBT)らが、前向きに、自分らしく生きることを訴えるパレード「名古屋レインボープライド」。さまざまな色が組み合わさった虹色は多様性の象徴だ。「ハッピープライド」は自分の性に誇りを持ち、楽しく生きることを祝福する言葉。当事者や支援者ら、この日の参加者は目標を大きく超える約六百七十人で、道沿いの大手百貨店松坂屋も、虹色の垂れ幕を飾った。

 初めて夫婦で参加したという静岡県島田市の会社員増田このみさん(41)は、知人に女性同性愛者(レズビアン)がいる。「自分に素直に生きられ、それが大切にされる社会っていいな。自分にできる支援を」と思って歩いた。愛知県に工場のある三洋化成(京都市)は本社や工場の従業員ら約四十人が社名の入った横断幕を掲げて行進。誰もが働きやすい職場を目指し、今年からLGBTに関する社員研修も始めたという。

 プライドパレードは、米国が発祥だ。日本では一九九四年、東京で初めて行われ、大阪や札幌、福岡など各地に広がった。名古屋で始まったのは二〇一二年。男性同性愛者(ゲイ)で、今回の実行委員会共同代表を務めた市川武史さん(36)は「始まった当時は参加者のほとんどが当事者。沿道から手を振ってくれる人も増え、支援の輪が広がっている」と話す。

 大阪市のゲイのカップルで、一一年に結婚式を挙げた弁護士夫夫(ふうふ)の南和行さん(42)と吉田昌史さん(41)も同性愛を公言する前から五年ほど、地元の大阪でパレードに参加してきた。当時は「知っている人に見つかったらどうしよう」と不安そうに見える人が少なくなかったという。

 LGBTという言葉が少しずつ知られるようになる中、南さんが「画期的だった」と評価するのが、一五年に全国で初めて、東京都渋谷区と世田谷区が制定した同性パートナーシップ制度だ。同性婚が認められていない日本で、同性カップルを「結婚に相当する関係」と区が認め、証明書を発行する内容。今では全国の自治体に広がっていて、南さんの地元の大阪市も一八年に制定。南さんと吉田さんは施行初日に届け出て、第一号となった。南さんは「異性愛が前提の社会で、同性愛者は存在しないものとされ、差別や偏見があっても放置されてきた。その存在を行政が認めた意義は大きい」と話す。

 同性婚を巡っては、さまざまな動きがある。今年二月、十三組の同性カップルが「同性婚ができないのは婚姻の自由を定めた憲法に反する」として、東京、札幌、大阪、名古屋で一斉に国を提訴。七月には日本弁護士連合会が、「憲法に照らし重大な人権侵害」として、同性婚を認めるよう国に求める初の意見書を公表した。

 一方で、一五年には、同性愛者であることを同級生に暴露された大学院生が心身に不調をきたし、校舎から転落死した。南さんは「社会の差別や偏見は根強く、セクシュアリティーを明かせない当事者がほとんど。同性婚が認められても、偏見や差別を恐れ、踏み切れない」と危惧する。

 南さんは願う。「人と違うから、多数派と違うからと排除するのではなく、『私は赤が好き』『私は青』と互いに違いを受け入れて認め合えれば、みんなが生きやすい。そんな社会にしていく力になれれば」

 (山本真嗣、河野紀子)

 

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