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<どうする相続> 介護貢献で「特別寄与料」

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 相続に関する民法などの改正法が施行され、介護などの貢献に応じて金銭を請求できる権利が、これまで認められていなかった相続人以外の親族にも認められるようになった。介護に励んだ「長男の妻」らへの配慮という格好。ただ請求には記録や書類など「証拠」が必要で、遺産の取り分をめぐる争いに拍車を掛ける可能性もある。請求のハードルは高そうだ。

 「これから義父母の介護などでお金がかかりそう。なのに遺産分割は法定通りなのか」。岐阜県の五十代後半の女性から、こんな投稿が本紙に寄せられた。

 義父母はともに八十代。義母は昨年足を骨折し、日常生活が不自由に。今春には、持病が悪化した義父も入院した。女性は夫と月二、三回、片道約百五十キロ離れた県外の夫の実家へ通い、簡単な身の回りの世話をしている。

 義父母の財産は、不動産と預貯金の計千数百万円。相続人は夫を含め親族三人。女性は「夫以外の二人は多額の経済的支援を受けてきたのに介護を手伝わない」と不満を漏らす。

 相続問題に詳しい藤原道子弁護士(東京)は「(この夫婦が)今後、義父母の介護をするようになったら、相続人の一人である夫が介護に貢献したとして『寄与分』を認められる可能性があります」と話す。

 寄与分は、被相続人の療養介護などに尽くした相続人がいる場合、何もしなかった相続人との間で不公平が生じないよう、一定の貢献をした相続人の遺産の取り分を多くする民法の制度。ただ施設への面会、契約手続きなど、家族に通常期待される貢献は寄与にカウントされない。被相続人が利用した介護保険サービスも当然含まれない。

 では、どんな貢献が寄与に該当するのか。一般的には、無償介護によって介護費用をその分節約できた場合など、被相続人の財産の維持や増加に結び付いたと証明されれば認められる。被相続人は、要介護2以上の状態であることが目安だ。

 寄与分は相続人全員の協議で決める。遺産から先取りし、残りを相続人で分ける流れ。協議で決まらない場合、家庭裁判所に申し立てをすることになる。

 寄与は以前から認められていたが、今回の法改正により、相続人以外の親族にも請求が認められることになった。「特別寄与料」といい、介護した相続人の配偶者らも対象になる。義父よりも先に夫が亡くなり、代わりに相続できる子どもがいない場合も、妻は金銭を請求できる=図参照。

 特別寄与料の請求は原則、被相続人の死亡を知ってから半年間、もしくは被相続人が亡くなってから一年間しかない。また、請求相手は相続人なので、遺産分割で相続人同士もめている場合は言い出しづらい。

 相続人の合意が得られなかった場合、家裁に調停を申し立て、不成立ならば審判に移行する。介護による貢献を認めてもらうためには、介護サービスのケアプランなど関連資料や交通費などの領収書、いつどのような介護をしたかを記した日誌をつけるなど「証拠」を残しておきたい。

 請求金額は例えば、節約できたヘルパー代などに日数を掛けるなどして算出する。請求金額が九十万円と認められた場合、相続人が三人いると、一人につき三十万円を請求する形だ。

 藤原さんは「新たな火種になる懸念もある。可能なら、被相続人に遺言を書いてもらうのが一番いい」と話している。

 (砂本紅年)

 <困り事や体験談募集> 相続に関する困り事や体験談を募集します。メールseikatut@tokyo-np.co.jp、ファクス03(3595)6931。件名に「どうする相続」と記入を。

 

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