トップ > 暮らし・健康 > 暮らし一覧 > 記事

ここから本文

暮らし

介護でイライラ→手が出る…悪循環脱出へ 怒りを記録、傾向つかむ

アンガーログを見直し「記録することでストレスが減った」と話す男性=愛知県春日井市で

写真

 家族を介護していてイライラを抑えられず、強い言葉を投げつけてしまったり、場合によっては手が出てしまったり。そんな経験がある人は決して少なくないだろう。こんなつらい介護を脱するためには、怒りを上手にコントロールすることが必要だ。「アンガーマネジメント」の手法を、妻の介護に取り入れた男性の自宅を訪問した。

 「(妻が)自室で転倒した。なぜ(私に)助けを求めなかったか」。A3判の表に、こうつづるのは愛知県春日井市に住む男性(77)。パーキンソン病で要介護4の妻(76)を八年ほど介護している。表は怒りを記録する「アンガーログ」。怒りを感じた日時や場所、起こったこと、どう感じたか、その怒りの強さは十段階でどのくらいだったのかを書き込む。

 始めたのは昨年秋。妻が枕の中のビーズをベッドの上に広げてしまった。ビーズを拾うだけでも一時間はかかる。「どうしてこんなことやるんだ」。瞬間的に怒りが沸点に達し、妻のほおをたたいてしまった。

 頭では病気のせいと分かっていても、とっさに手が出てしまう。そんな自分に悩んでいると、近くの地域包括支援センターの職員に、アンガーマネジメントを紹介された。

 記録を振り返ると、自分がどんなことに怒りやすいのか、分かってきた。薬が効いてきたときに妻が動き回って何かすると、それが怒りのきっかけになりやすいと把握できた。そこで、妻が動き回りそうな時間帯は、農作業を中断して、家で見守るようにした。

 センターの職員に勧められ、よかったことやうれしかったことも記録する。妻の昼夜逆転が改善し、夜中の失禁がなくなったことも記録し「花まる」と書き添えた。次第に妻をほめるようになった。「ほめるのはいいと分かっていても『できて当たり前』という感じで、しかるだけだった。ほめるようになってから、妻の調子がよくなってきた」と感じる。

 最近、介護で疲れると出ていた痛風に悩まされなくなった。男性は「怒ったり、手を出したりすると自責の念に駆られ、自分にも大きなストレスがかかっていると気付いた。自分の健康管理のためにも続けたい」と話す。

 「まず、自分ができること、できないことを切り離すところから始めるといい。すべてやろうと抱え込むと、自分がつぶれて日々の介護がうまくいかなくなり、罪悪感を持つ、という悪循環になる」。日本アンガーマネジメント協会(東京都港区)の代表理事安藤俊介さん(47)は助言する。

 怒りを感じた時は、強い怒りの持続時間とされる六秒間、相手から離れて待つ。イライラをため込みそうだが、それにはアンガーログが役立つ。「後で機嫌のいい時に、許せるかどうか。許せないとなった時は怒ればいい」

 ただ、認知症などを患う人に怒りをぶつけても、通じにくい場合も。「病気ではどうしようもないが、介護をしていれば許せないことは出てくる。それは普通のこととした上で怒りが起きない仕組みを考えるしかない」と安藤さんは言う。アンガーログで、自分の怒りの傾向をつかみ「次はどうすればうまくいくか、ゲームを攻略するような感じで、気楽にやってみてほしい」と話す。

 (出口有紀)

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索