トップ > 暮らし・健康 > 暮らし一覧 > 記事

ここから本文

暮らし

<わが家の認知症ケア手帳> 私の対処法

イラスト・白井裕子

写真

 同じ事を何度も聞かれてイライラ、ずっと近くにいないといけない気がして気持ちが晴れない−。認知症の家族を介護すると、さまざまな悩みを抱えがち。そんなときの工夫や知恵を紹介する「認知症 わが家のケア手帳」に、読者からさまざまな体験談が寄せられた。その一部を紹介する。

 母を自宅で介護している岐阜県多治見市の竹村勝さん(59)は、小学二年ぐらいのときに母から買ってもらった小説を、本棚の目に付く場所に置くようにしている。内容が低学年向きではなく、母に買うことを反対されたが、駄々をこねて買わせてしまった。

 「母親に負担や苦労を掛けた思い出が、一つの象徴として残っている」。日々の介護の中で、母に困った行動をされてイライラすることもあるが、この本を見て当時の申し訳ない気持ちを思い出すと、イライラが和らぎ、冷静に向き合えるようになるという。「もし親を介護することになったら、思い出のある物をいつも見えるようにしておけばいいと思う」と話す。

 「今日はデイサービス?」「明日は?」。今は施設で暮らしている名古屋市天白区の柴本三枝子さん(59)の母は、日々の予定を何度も聞いては忘れ、家族を困らせることがあった。病院に行く予定を母が忘れて「勝手に予定を入れられた」と怒りだすことも。柴本さんは、日めくりと月別のカレンダーを準備し、母がいつも座る場所からよく見える位置に掲げてみた。母が楽しみにしていたデイサービスの日や、病院に行く日など、曜日が決まった用事でも大きな字で書き込み、母にいつも見るように伝えた。

 すると、母は予定が気になることがあっても、自分でカレンダーを確認して納得することが増えた。「カレンダーを見ると、安心しているようだった」。家族も「カレンダーを見てね」と言うなど、対応しやすくなったという。

写真

◆義父の介護を漫画に「イライラが減った」

 認知症の義父の言動をユーモアたっぷりに描いた4こま漫画も寄せられた=写真。介護によるストレスを和らげようという名古屋市緑区に住む女性(55)の工夫で、10年間の介護生活の中で100作ほどに上った。

 子育てと介護が重なって睡眠もろくに取れず、「このままでは病んでしまう」と思った。そんなとき、友人に介護の大変さを話すと「漫画みたい」と言われ、初めて漫画に挑戦。夫や子どもに見せると面白がってくれ、介護の状況を伝えることもできる。義父はその後施設に入ったが、「何とか頑張れたのは、介護を笑いに変えられたことも一つだと思う」と振り返る。

◆「とらえ方」を変えよう

 家族介護者の心理に詳しい渡辺医院(群馬県高崎市)院長で、ケア手帳の連載を担当する精神科医の渡辺俊之さん(59)に聞いた。

      ◇

 認知症の家族を介護しているとイライラすることが多いが、そんなときに家族に対する「とらえ方」を変えると、ストレスが和らぐことがある。

 今回の介護体験では、母が買ってくれた本を見ることで「イライラさせる母」から「苦労して自分を育ててくれた母」へ、義父を漫画にすることで「困った人」から「ユーモアの対象」へと、うまく転換できたのではないか。ユーモアはストレス軽減に効果があることが実証されており、とても良い方法だ。

 認知症の人は新しいことを覚えられず、周囲から「覚えていないのか」などと記憶を確認されると、不安が高まってしまう。カレンダーを置けば本人にとって安心材料になるし、カレンダーというワンクッションがあった方が、家族も対応しやすくなるだろう。

 (河郷丈史)

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索