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中日懇話会

第535回 イランとの交渉 継続を 慶大院・田中教授講演

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 第535回中日懇話会(中日新聞社主宰)が10日、名古屋市内のホテルであり、慶応義塾大大学院の田中浩一郎教授(57)が「イラン情勢とペルシャ湾をめぐる日本外交のあり方」と題して講演した。9月にはサウジアラビアの石油関連施設への攻撃を巡り、日本は、対立する同盟国の米国と友好国イランの板挟みとなるなど難しい外交のかじ取りを迫られた。安倍晋三首相は、サウジ攻撃に先立つ6月にイランを訪れているが、訪問を「一世一代のばくち」で終わらせるのではなく、今後も継続して交渉していく必要があると強調した。

 講演の要旨は次の通り。

 【米国の思惑】

 トランプ大統領は威勢がいいが、泥沼の戦争には及び腰で、イランと一戦を交え足抜けできなくなるようなことはしたくないだろう。サウジの石油関連施設が攻撃されたことではっきりしたのは防空体制がざるで無防備だということ。米国がサウジとともにイランに何かしら報復攻撃をしかけても、イランからの再攻撃を受ければサウジを守れず被害が拡大することもあり得るため、米軍として動きがとれない状況だ。

 【イランとの関係】

 イランとは伝統的に友好関係にあり、欧米が断交していても日本は回避することができてきた。ただ、だからといってイランが大事というわけではなく、それ以上に大事なのはペルシャ湾地域全体の安全だ。そして日本は原油の90%をホルムズ海峡経由で輸入している。日米同盟があってこそ日本の安全が守られるという現実があるものの、エネルギー安全保障を考えると日本と米国の立場は相当異なる。米国はシェール革命後、中東の原油がなくてもやっていけるが、われわれはそうはいかない。日米同盟が大事と言うこととは別に計算する必要がある。

 【日本外交のあり方】

 外交の場では即断即決は美学だとは思わない。怖いのは限られた情報の中でそれも恣意(しい)的に寄せられた情報でわれわれは判断させられると言うこと。寄せられる情報にはバイアスがかかっている、あるいは向こうのアジェンダ(政策課題)を達成するため恣意的に情報が選ばれている状態で即断即決することは相当危うい。

 また、6月に安倍首相はイランを訪れているが、外交は一発勝負ではない。何回も交渉し議論を深めることで何かしらの結論や妥協点を探っていくもの。そうしなければ、イラン側から見ればトランプ大統領のメッセージを運びにきたようにしかみえず、日本の外交力はしょせんそんな物かと底が割れてしまう。そうなればイランに限らず、さまざまなところに影響を及ぼしてしまうため、注意しこの先の外交を考えていただきたい。

 

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