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中日懇話会

第531回 G20 次につながる議論を 京大・中西教授講演

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 第531回中日懇話会(中日新聞社主宰)が28日、名古屋市中区内のホテルであり、京都大の中西寛教授(56)=国際政治=が「世界情勢の現状とG20日本会合の意義」と題して講演した。中西氏は英国の欧州連合(EU)離脱を巡る混乱や米中の貿易摩擦を挙げて「リーマン・ショック以来の国際情勢の危機」と指摘。大阪市内でこの日始まった20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で「次につながる話ができるかが世界史的にみて重要」と述べた。

 講演の要旨は次の通り。

 【英国の混乱】

 英国はEU離脱を巡り、抜けられないあり地獄のような状態に陥っている。議会から離脱協定への賛同が得られず、このまま何もしなければ「合意なき離脱」になる。そうなれば、関税によりサプライチェーン(部品の供給網)が機能しなくなり、大変な混乱を招くといわれている。

 なぜこうなったのか。戦後の政治を担ってきた保守、労働両党による二大政党制が機能しなくなってしまったのが大きい。2008年のリーマン・ショックなどで、経済発展を支えた金融業の限界が露見。これをきっかけに二大政党内にもともとあった亀裂が深まり多党化を招いた。今の混迷は、既に辞任が決まっているメイ首相ら現在の政治家の能力不足だけではなく、根深い分裂状態の帰結と言える。

 【日本の現状とG20】

 一方、日本の第2次安倍政権は6年続いており、今年末で憲政史上最長となる。その前の6年は毎年首相が代わる政治の混乱期だった。あれだけ混乱していたのに、なぜ安倍政権が長く続くのかは分からない。ただ、衆参で多数派が違う「ねじれ国会」ではうまくいかないという意識が、国民にも浸透したように思う。

 長期政権のメリットはあるが、同時にもろさも抱えている。例えば外交。対ロシアの北方領土問題も、対北朝鮮の拉致問題も、展望は見えていない。相手国に対して日本が単独でできる交渉は限られ、外交力に問題がある。内政をみても、老後の資金や労働人口減少などに正面からどう手を付けるか、大きな課題だ。

 緊迫するイラン情勢など国際秩序が岐路にある時期のG20が、安倍政権時の日本で開かれることに因縁めいたものを感じる。29日の米中首脳会談が物別れに終われば、世界経済は大きなショックを受ける。問題をすべて解決するのはあり得ないが、次につながるような話ができるか、世界史的にみても重要だ。

 

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