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中日懇話会

第529回 集団議論で生産性向上へ 第一生命・熊野氏

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 第529回中日懇話会(中日新聞社主宰)が3日、名古屋市内のホテルで行われ、第一生命経済研究所経済調査部の熊野英生首席エコノミストが「生産性を上げるにはどうすべきか」と題して講演した。日本企業の生産性が低い理由を解説。米IT大手アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏の例を挙げ、「組織として天才を探す、あるいは天才的な意見が議論の中から出てくるよう工夫を」と打開策を語った。

 講演の要旨は次の通り。

【五輪を契機に】

「働き方改革」という言葉はネーミングが良く、企業のリーダーの琴線に触れた。どうしたら生産性が上昇するかと民間が能動的に考え始め、例えば働く場所を選ばない「テレワーク」がヒットした。約70人が働く私の職場では、まず私を含めた3人からスタートし、30人に増えた。雑務から逃れて仕事に集中でき、自由度が上がった。海外の事例では、2012年のロンドン五輪で、交通渋滞を緩和するため、英国政府がテレワークを推奨した。日本では、東京五輪がある来年が「テレワーク元年」になり、改革が進むと思う。

【低い日本の生産性】

日本の労働生産性は低く、16年時点の経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国で20位だ。消費者の高齢化と雇用の非正規化の暗い影がある。顧客がコストダウンを要求し、結果的に安い労働単価を基軸にしたビジネスが増えて生産性向上を妨げている。日本には、米国の巨大IT企業や欧州の化学、医療、食品巨大企業のような突出した生産性を示す企業がない。参考にすべきなのは、シャンデリアの反射鏡や熱帯魚のエサなどニッチな(狭い)市場で世界トップのシェアを持つドイツの中堅・中小企業。「グローバル・ニッチ・トップ」なら、競争力を持ち、製品の値段と品質を上げられる。日本の中小もこれを目指し、活路を開きたい。

【集合知でアイデアを】

いま企業に求められるのは「付加価値生産性」、つまり顧客が喜ぶアイデアを生み出すことだ。自由度を上げる組織の運営をすればするほど良いアイデアが生まれる。アップルのスティーブ・ジョブズのような天才をどう発掘するか。ただ、天才はどこにでもいるわけではないので、集団で議論しながら「集合知」で天才的なアイデアを生み出すことを目指したい。重要な条件は、議論に付和雷同がないこと。「あの人は将来出世するから」と優秀な人にみんなが従っていては集合知がゼロになる。

 

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