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中日懇話会

第528回 AI 人の制御が大切 慶大院・山本教授講演

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 第528回中日懇話会(中日新聞社主宰)が26日、名古屋市内のホテルであり、慶応大法科大学院の山本龍彦教授(42)が「人工知能(AI)社会のゆくえ−憲法への挑戦」と題して講演した。「AIの予測精度を高めようとすれば、プライバシーが犠牲になる。個人を尊重する憲法の理念と調和するAI社会のあり方を考えなければならない」と問題提起した。

 講演の要旨は次の通り。

【AIと憲法】

 より多くのデータを必要とするAI社会は、憲法が保障するプライバシーと緊張関係にある。米国の小売会社は、購買履歴から客の妊娠を予測した。購買履歴は隠したい情報でなくても、AIが分析することで隠したい情報を予測できてしまう。

 差別を助長するという考え方もある。例えば、アマゾンが使っていた人事採用プログラムには女性差別の傾向があった。アマゾンの技術職に男性が多かったため、AIが学習した過去のデータに男性の情報が過剰に代表されていたからだ。社会的構造差別の結果を、AIが学ぶことで継承してしまう。データの偏りをなくすには調整が必要だ。米国の犯罪予測システムではあえて人種の要素を落とし、憲法上の公平さと予測精度のバランスを計っている。

【民主主義への危険】

 中国では、さまざまなデータから個人の社会的信用を点数で表し、採用などの基準にしている。政府批判のデモに参加することで点が下がれば、批判できなくなる。

 また、ネットニュースは、AIが読者好みの情報を選んで表示する。読者は、自分好みの情報の泡に閉じ込められる。泡の中で自分の思想が是認され、極端な思想になる。異なる思想の人と接する機会が減り、社会の分断につながる。AIを使った恣意(しい)的な選挙の操作も可能になる。フェイスブックは、一定の人だけに投票所などの情報を送る実験を行い、投票行動に影響を及ぼすことができた。一定の人だけに情報を送ることで、米大統領選の結果を逆転させることが可能だったという分析もある。

【法規制】

 AI導入が憲法違反と言うのではない。欧州連合(EU)の規則には、AIの予測だけで重要な決定を出すことを禁じた条文がある。重要な決定には、原則として人間が関与しなければならなくなっている。頭が人間で、胴体がAIというケンタウロスのような決定が重要になるのではないか。

 

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