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中日懇話会

第527回 領土 日ロ双方が決断を 元外務省局長・東郷氏

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 第527回中日懇話会(中日新聞社主宰)が26日、名古屋市内のホテルであり、元外務省欧亜局長で京都産業大の東郷和彦教授(74)が「2019年の日本外交−北方領土交渉の意義と展望」と題して講演した。東郷氏は、日本政府が四島のうち国後(くなしり)、択捉(えとろふ)両島に対する主権要求を取り下げたと推測した上で「安倍晋三首相が解決できなければ今よりさらに不利になる」と指摘し、日本とロシア双方に決断を期待した。

 講演の要旨は次の通り。

 【過去の経緯】

 これまでの交渉は主権についての議論に至らず、双方の立場を近づけるところで終わっている。ソ連崩壊後の1992年、日本がロシアを上回る力関係にあった中、ロシアから歯舞(はぼまい)群島、色丹(しこたん)島の引き渡し交渉を開始する秘密提案があったが、日本は拒否して機会をつかみ損ねてしまった。2001年の首脳会談では日本が歯舞、色丹の引き渡し交渉と並行して国後、択捉に関する協議を行う提案をした。プーチン大統領が拒否しなかったため、交渉が進む期待が高まったが、日本の国内事情で推進力を失った。

 【交渉の現状】

 プーチン氏が受け入れる条件は何かと考えると、日本は国後、択捉の主権要求を下ろしたのではないか。それはロシアに歯舞、色丹の引き渡しの決断を迫ることにつながっている。交渉内容はブラックボックスに入っており、ある程度の結論が出るまで待つ必要がある。

 なぜ交渉が続いているのか。ロシアは欧州や米国との関係が悪化しており、日本に接近することに意義がある。日本にとっては近隣国に友人を増やすことが重要だが、北朝鮮や韓国は友好的ではなく、ロシアだけが候補に残っている。

 【今後の見通し】

 交渉がどうなるかは分からない。流れが止まっても、交渉をやり直すことはほぼ不可能だ。現地のロシア化はさらに進み、中国、韓国の企業や世界中からの観光客が入る一方、日本人だけが入れない島であり続ける。これを止めるために、双方が清水の舞台から飛び降りることが必要だ。

 歯舞、色丹の先に国境線が引かれたら、色丹に住む数千人のロシア人を統治することになるが、日本にノウハウはない。準備が必要で、引き渡しは相当、先になる。日ロの対立の島を平和の島に変えることができれば、日本の国際的評価は跳ね上がるだろう。

 

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