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「守る」北陸中日・石川テレビ共同企画

【第5部 子ども】地元でも学べる 着々 能登高存続へ公営塾奮闘

高校受験に向けタブレット端末を使った動画授業を受けたり、自習をしたりする中学生ら=石川県能登町宇出津のまちなか鳳雛塾で

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 北陸地方初の公営塾として、地元の小学四年生から高校三年生の計八十九人が通う石川県能登町宇出津の「まちなか鳳雛(ほうすう)塾」。設立のきっかけは、統合が進み十一年前に町内唯一の高校となった能登高校が、入学者が減り、廃校の危機を迎えたことだった。少子化が進む中、地域一体となって学びの場をつないでいる。(加藤豊大)

 平日終業後の夕方、同町能都中学校や能登高の生徒らが、旧公民館に集まった。町地域おこし協力隊の専従スタッフ五人が講師として見守る中、インターネットを通じてフィリピンに住む英語講師と英会話をしたり、タブレット端末で映像授業を受けたりした。

 その一人、能都中三年の西海温人(さいかいはると)さん(15)。都会への憧れから金沢への進学を希望していたが、受験を目前に控えた今冬、能登高を受験することを決めた。「生まれたところに愛着があって、能登高なら身近な人の応援を受けながら地域に密着した学習ができる」。将来はインターネットを活用し、世界に通用するような会社を地元で起業することを夢見ている。

 「それまで最低でも35%余りあった町内中学生の能登高への進学率が二〇一三年、29・9%に落ち込んだ。町唯一の高校がなくなってしまうという危機感があった」。町ふるさと振興課地域戦略推進室の綱屋栄次郎さん(40)は明かす。

 この年の入学者数は定員百二十人(一六年からは八十人)のうち、わずか五十四人。「大学への進学実績を高めることが重要」と、翌一四年、能登高校内に生徒が無料で放課後に地元の塾講師らから受験勉強が学べる「鳳雛塾」をつくった。町のある鳳珠郡とかけて「鳳(おおとり)になる雛(ひな)を育てる」との願いを込めた。

 一六年には、対象を小中学生にも広げ、放課後や休日も生徒らの学習意欲に対応できる場を整えようと、校外に「まちなか鳳雛塾」を設立。講師として東京工業大や東京外国語大、立命館大などを卒業したスタッフを雇い、情報通信技術(ICT)も生かした学習環境を整えた。本年度の運営費は約三千万円。

 一方で「大学進学率を上げるだけでは十分でない。能登への理解や愛着を深めてもらい、将来地元に貢献する若者を育てたい」と綱屋さん。塾や能登高は、地域で活躍する農漁業者らを招いて地域の課題を聞き取り、解決法を考えるワークショップを定期的に開くなど、「地域学」と呼ばれる学習にも力を入れる。

 金沢大や富山大といった国立大への進学者も毎年続いたこともあり、町内中学生の能登高進学率は向上。一八年にはこの十年間で初めて50%を上回り、新入生の数も七十人を超えるようになった。

 綱屋さんは「能登高は水産系や農業系の高校を前身に持ち、地域資源を生かした多用な学びが得られる貴重な学校。『能登高モデル』とも呼べるような学びの在り方を全国にも発信していきたい」と語っている。

◇石川テレビであす夕特集◇ 

 北陸中日新聞は石川テレビ放送と「守る」という言葉をもとに取材し、共同報道企画「守る」を隔週で、連載しています。石川テレビの特集は13日午後6時20分以降の「Live News it!」で放送します。

 

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