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「守る」北陸中日・石川テレビ共同企画

【第4部 家族】卵・牛乳不使用 小松・能美の店 親の思い応え

卵などのアレルギーに対応したパンが作られている「トントンハウス」の工場=石川県小松市南浅井町で

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パン食アレルギーある子も

 石川県小松市と能美市で二店舗のパン店を経営する「トントンハウス」は、アレルギーがあっても食べられるパンを作っている。市販のパンに使われる卵と乳製品はアレルギーを持つ子どもが多く、重篤な症状も引き起こしかねない。子を思う親の気持ちに応え、完成させた卵と牛乳抜きのパン。販路は県内外に広がっている。 (小佐野慧太)

 メロンパン、クロワッサン、ウインナーパン−。小松市南浅井町の店「卵・乳アレルギー対応パンのtonton」には、種類豊富なパンが並ぶ。客の会社員男性(50)は、小学一年の長男に卵アレルギーがある。「ここのおかげで、家族みんなでおいしいパンが食べられる」と笑顔をみせた。

 店長の井藤(いとう)修さん(48)は二〇〇五年、能美市寺井町のスーパー内にパン店を開業した。しばらくして来店した女性から「アレルギーのある娘のために、卵と牛乳を使わないパンを作ってほしい」と頼まれた。井藤さんが卵と牛乳抜きのパンを作ったのは、それが初めて。「三十二個のコッペパン。今も覚えています」

 その女性は今も店に通う能美市の会社員、西田千菜美さん(24)の母親。西田さんは、リクエストして作ってもらったクロワッサンを口にした時の喜びが忘れられない。「初めての食感でした」

 クロワッサンは何層ものパン生地の間に乳製品のバターを挟むことで、さくさくとした食感が出る。試行錯誤の末、バターは大豆油で代用できた。井藤さんは「いろんな食材を試すんです。化学者みたいですよ」と笑う。

級友と一緒に給食 喜びの声

 西田さんの小学校には週一回、給食でパンを食べる「パンの日」があった。トントンハウスと出合い、学校にパンを持っていくことができるようになり、「みんなと一緒にパンを食べられるようになった。とてもうれしかった」。

 アレルギー対応のパン店は県内ではまだ少ない。トントンハウスは現在、配達やインターネット通販などで、全国の百五十近い幼稚園や保育園に届けている。能美市では数年前から、全ての公立保育園が仕入れるようになった。

 「大勢の友達の中で自分一人が別のものを食べているのって、子どもにとってはすごくさみしいことだと思う」と井藤さん。アレルギー症状を起こす食品は無数にあるが「パンだけでも、家族や友達と一緒に食べてもらうのが、うちの存在意義だと思っています」。

 食物アレルギー 本来は人体に無害な食品を口にした場合、過剰な免疫反応を起こす症状。じんましんやせきなどが出るほか、重篤なケースでは死に至る。厚生労働省によると、人口の1、2%が食物アレルギーを持っている。乳児に限ると約10%。症状を起こす食品(アレルゲン)は年齢によって違い、小学5年までは卵と牛乳が1番目と2番目に多い。

石川テレビで11日夕特集

 北陸中日新聞は石川テレビ放送と「守る」という言葉をもとに取材し、共同報道企画「守る」を隔週で、連載しています。石川テレビの特集は11日午後6時20分以降の「Live News it!」で放送します。

 

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