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「守る」北陸中日・石川テレビ共同企画

【第4部 家族】パン「トントンハウス」店長 井藤修さん

アレルギー対応のパン作りについて語る井藤修さん=小松市南浅井町で

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リスクあってもアレルギーに挑む

 僕が三十四歳のとき、夫婦で能美市のスーパーにパン店「トントンハウス」を開きました。しばらくして、小学五年生だった(西田)千菜美ちゃんのお母さんから「アレルギーのある娘のために、卵と牛乳を使わないパンを作ってほしい」と頼まれたんです。即断しました。「買ってくれるなら、ぜひやらせてください」って。

 千菜美ちゃんのリクエストに応えて、卵と牛乳抜きのいろんなパンを作り始めました。次第に口コミでお客さんが増え、近くの病院でアレルギーの診断がある日には、特ににぎわうようになりました。

 重症のお客さんの要望に応えるため、二〇一二年に卵・乳製品を一切扱わないパン工場を造りました。重い症状を起こすケースが多いナッツ類も、工場では扱いません。人気商品だったクルミパンも、売らないことに決めました。

 同じ年、東京都の小学校で粉チーズ入りのチヂミを食べた女子児童が死亡する事故が起きました。食物アレルギーへの社会の関心が一気に高まりました。

 全国では最近だと、茨城県日立市が卵と乳製品を扱わない給食の調理室を設置したほか、大阪府箕面市がアレルギー食品を極力減らした給食を小中学校の全員に出すといった取り組みをしています。県内の自治体のアレルギー対策は少し遅れている印象なので、頑張ってほしいと思います。

 お店で「アレルギー対応」をうたうことは、怖さがあります。万が一、アレルギー食品が混入したら、最悪のケースでは死亡事故につながってしまう。正直、僕たちのパンを食べた人からも、「アレルギー症状が出た」という声はあります。パン作りに必要な酵母が原因だった−という例もあり、アレルギーと向き合う難しさを感じています。

 リスクを背負ってなお、お店を続けているのは、僕たちを必要としているお客さんがいるからです。おいしくて、安全安心なパンを作りながら、前に進むしかないと思っています。

 そして、僕たちが目指しているのは、アレルギーの子どもたちのためだけのパンではなく、アレルギーがあってもなくても「おいしい」と言ってもらえるパンなのです。 (小佐野慧太)

 いとう・おさむ 1971年3月、富山市生まれ。金沢工業大卒。建材メーカーを退社後、大手ベーカリーチェーン店でパン作りを学ぶ。2005年に独立起業。小松市で「卵・乳アレルギー対応パンのtonton」、能美市で「食パンのtonton」を経営している。

 

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