トップ > 石川 > 「守る」 > 記事

ここから本文

「守る」北陸中日・石川テレビ共同企画

【第3部 いのち】 義足が支える体と人生 金沢義肢製作所

使う人に合わせてオーダーメードされる義肢や装具=金沢市石引で

写真

 義足や義手を一人一人に合わせてオーダーメードで作り、使い手のユーザーの体だけでなく人生と命を支える。金沢義肢製作所(金沢市石引)の吉田健次部長(51)は「義足は重心の位置や膝の曲がり加減で転倒事故にもつながる。製作、調整する私たち義肢装具士の責任は重い」と話す。

 製作所の工房に入ると、塑像のような石こう型が並び、学校の美術室のよう。作りかけの義足の前では、科学者さながらに楫谷和史(かじたにかずし)さん(25)が手にした糸から重りをぶら下げ、「もうちょい、内(うち)か」とつぶやく。

 マスク姿で片目をつぶり、重心を確かめる。ユーザーが脚の切断部を差し込む「ソケット」の位置と角度の調整をミリ単位で続けた。「義足を着けたとき、かかる体重の重心線が膝より後ろにくると、歩いていて膝がガクッと曲がって倒れてしまうんです」

 シャーッ。市場雅俊さん(43)が「足底装具」を紙やすり機に押し当てている音だ。「脚の長さが違う方が履くシークレットシューズ的なものです。履いたとき足首や膝が傾くと、痛みや転倒につながるので気を付けています」と削る面を巧みに動かしていた。

 作業着姿だった加古奈々恵さん(34)がスーツに着替え、カバンを手に。これから近くの病院に出掛け、手を手術して矯正を保つための装具を希望する子どもと親に会いに行くという。

 子どものものは、成長に合わせて短期間で作り替えていく。「ずっと長いつきあいになるし、会うたびに成長を見届けられるのがやりがいです。使い込んで、ぼろぼろになった装具を見ると、作ってよかったと実感できます」と笑う。

 吉田さんがかつて、腫瘍で脚を切断した若い女性の義足を作ったときのこと。女性は入院や治療を繰り返し、たくさん歩ける状態ではなかった。

 しばらくして女性は亡くなった。その後、母親が製作所を訪ねてきて、言ったという。「義足のおかげで娘と一緒に出かけられたんです。ありがとうございました」と。義足が本人や家族の命の輝きを守った。 (辻渕智之)

石川テレビで今夕特集

 北陸中日新聞は石川テレビ放送と「守る」という言葉をもとに取材し、共同報道企画「守る」を隔週で、連載しています。石川テレビの特集は27日午後6時30分ごろからの「石川さんプライムニュース」で放送します。=インタビュー17面

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索