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「守る」北陸中日・石川テレビ共同企画

【第3部 いのち】 患者の元へいち早く 県ドクターヘリ 

医療器材などの点検でドクターヘリに乗り込む医師(右)ら=金沢市の石川県立中央病院で

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 昨年九月に導入された石川県立中央病院(金沢市鞍月東)を拠点に活動する県のドクターヘリ。金沢から能登半島の先端に四十分ほどで到着し、人命を救う。同病院救命救急センター長の明星康裕さん(58)は「救える命が増えた手応えはある」と語る。(小坂亮太)

 「プルル、プルル」。十八日午前十時三十一分、搭乗担当医師のPHSが鳴った。出動要請。ヘリの機長と整備士、医師と看護師の計四人が屋上へ急ぎ、ヘリに乗り込む。回転数が徐々に増し、プロペラの音が大きくなる。要請から七分後に飛び立った。

 向かった先は約六十キロ離れた志賀町富来。消防によると、「高齢女性が意識を失い、心肺停止の恐れがある」。運航管理室の担当者が、患者の状況やヘリの着陸地点の風向、強さなどを医師や機長に伝える。

 約十八分で到着し処置が始まった。女性を乗せ、要請から一時間後に中央病院に戻った。意識は回復し、「軽症でよかった」と明星医師。三十分後、再び要請があり、医師らは慌ただしく、輪島市へ向かった。

 以前も県消防防災ヘリを活用していたが、転院のための搬送が主だった。ドクターヘリは人工呼吸器や吸引器、生体センサーなどの設備を備える。救命救急科の南啓介医師(36)は「離れた地域でも、いち早く治療できるようになった」と話す。

 一例は昨年十月、羽咋市内の山奥で高齢男性がハチに刺されたケース。ヘリ到着時、男性は血圧が著しく低下し、心肺停止寸前だったが、薬剤投与で回復につなげた。「最寄りの病院まで距離があり、救急隊員ではできない処置だった」と南医師は振り返る。

 ドクターヘリ担当は、医師六人と看護師四人。毎日午前八時半〜午後五時、医師と看護師が一人ずつ待機する。昨年九月二十四日の導入から今月十七日までに二百十四件の出動要請があり、天候不良で飛べない日などを除き、九十一回出動した。行き先の約三分の二は能登地域だった。

 だが、ドクターヘリの仕組みは医療関係者にも完全に理解されていない。市町の消防に「ショックや心停止の危険」「心肺停止」など要請基準を伝えているが、「呼べば助かった」と思われるケースで要請がなかったことも。「実際は軽症というのは構わない」と明星医師は積極的な要請を求める。「各地の消防、病院との連携を高めていけば、より効果的に運用できる」

 石川県ドクターヘリ 運航や整備などの年間費用は2億5000万円で、県と国が半分ずつを負担。運航は中日本航空に委託。各市町の消防の要請で出動し、県立中央病院、金沢医科大病院など七つの医療機関へ搬送する。ランデブーポイント(離着陸場所)は560カ所。

石川テレビで今夕特集

 北陸中日新聞は石川テレビ放送と「守る」という言葉をもとに取材し、共同報道企画「守る」を隔週で、連載しています。石川テレビの特集は25日午後6時30分ごろからの「石川さんプライムニュース」で放送します。

 

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