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「守る」北陸中日・石川テレビ共同企画

【第3部 いのち】 地元で出産 ママの願い

産科医不足 奥能登で奮闘

エコー検査機で胎児の成長を確かめる山城玄医師(中)=石川県珠洲市総合病院で(加藤豊大撮影)

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 能登半島の先端に位置する石川県珠洲市の市総合病院では、一年間に約百人の赤ちゃんが産声を上げる、出産を支えるのが、山城玄(やましろげん)医師(69)だ。市内で唯一の産婦人科医で、「母親たちが安心して出産できる環境を守りたい」と、過疎化が進む地域の産科医療を担う。(加藤豊大)

 二月中旬、妊娠三十七週で、愛知県知立市から里帰り中の阿南(あなん)未希さん(29)が来院した。山城医師が生活状況や健康状態を聞き取り、エコー検査機をおなかに当てると、胎児の輪郭が画面に映しだされた。「これが頭、これは心臓だね」。順調に成長している。

 珠洲市や隣の石川県能登町の妊婦らが来院する。「自宅から近いと、急な体調変化にも迅速に対応してもらえて安心」「夫にも出産に立ち会ってほしい」といった理由で、地元の病院を選ぶという。古里での出産を希望する人の受け皿にもなっており、阿南さんは「実家なら産後も両親にサポートをお願いできる」と話した。

 山城医師は多いときで、妊婦二十五人を同時に受け持つ。月−金曜は外来診療、土日も入院する妊婦の回診を欠かさない。病院から徒歩二分の官舎に住み、破水や体調悪化といった呼び出しがあれば、深夜でも病院に駆け付ける。多忙の日々だが、「お産は時間を選んでくれない。自宅の風呂場にも携帯電話を持ち込みますよ」

 奥能登では産婦人科医の不足が課題となっている。県健康福祉部によると、奥能登二市二町で出産に対応する常勤の産科医は現在、山城医師と同県輪島市の一人のみ。珠洲市総合病院事務局の担当者は「能登北部で医師が不足している地域偏在の問題に加え、産婦人科医志望者自体が少ないことが重なっている。山城医師の後任者のめどは全く立っていない」と説明する。

 山城医師は「体力の衰えはもちろん感じている」。それでも「命の誕生に関わる喜びに勝るものはない」と原動力を語る。「医師は一生の仕事。必要としてくれる人たちがいる限り続けなくてはいけない」

石川テレビで今夕特集

 北陸中日新聞は石川テレビ放送と「守る」という言葉をもとに取材し、共同報道企画「守る」を隔週で、連載しています。石川テレビの特集は28日午後6時25分ごろからの「石川さんプライムニュース」で放送します。

 

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