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「守る」北陸中日・石川テレビ共同企画

【第3部 いのち】 生きること諦めないで

生活に困った人のために食事を作る三井美千子さん(左)と藤次誠さん=金沢市諸江町で

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困窮者に格安で食事提供 

 生活が苦しい人のため、NPO法人「金沢あすなろ会」が格安で食事を提供し続けて約十年。自身も多重債務に苦しんだ経験があるという理事長の三井美千子さん(69)は「誰にも頼れない人たちの最後の砦(とりで)だと思っている。生きることを諦めないで」と願って活動を続ける。(小坂亮太)

 焼きそば、ご飯、ロールキャベツ、スープ、フルーツヨーグルト、サラダ。八日夜、会が運営する自立準備ホーム「みんなの家」(金沢市諸江町)が用意した食事は、これで一食三百円。「いつもこれぐらい。私が大食いだから。おなかいっぱいになってほしいでしょ」と三井さん。

 この日は男性三人が顔を見せた。四十代の男性は一年以上前に職を失った際に会を頼り、今も毎晩のように訪れる。パートの収入は月十万円以下。「助かっているし、独りぼっちじゃなくなるのもうれしい」

 あすなろ会はもともと、多重債務に苦しむ人を支援するための組織で、三井さんも頼った一人だ。土木関係の会社を営んでいたが約二十年前、公共工事の受注が激減して設備投資に使った約三千万円の借金の返済が困難になった。

 「何度も死にたいと思った」と三井さん。あすなろ会で助言をもらって返済を続ける一方、会に参加して同じように苦しむ人たちの支援に加わった。

 食事提供は、リーマン・ショックの影響が残る二〇一〇年ごろから始めた。「派遣切り」にあった中年の男性二人が「住む所がなく、一週間ほど何も食べていない」と会を訪ねてきた。おにぎりやカップラーメンを無償で提供したが、同じ境遇の人が増えたため、栄養が偏らないように、手作りの食事に切り替えた。

 代金を払えない人には、「後払い」を認めた。だが、中にはそのまま連絡を絶つ人もいる。「何度も裏切られ、ショックでやめたくなることもある。『よくやるね』という人もいるけど、ここがあるから助かる人もいるから」

 食事の提供は長年、三井さんがほぼ一人で続けてきたが、約三カ月前から藤次(ふじつぐ)誠さん(40)が手伝う。昨年八月、職を失って訪れた後、恩を感じて協力し始めた。「三井さんには感謝しかない。長い期間続けているのはすごいこと」

 最近の利用は一日十五人前後。当初よりも減ったが、「下火になったからやめるのは違う。できることを続けていきたい」と三井さんは決意している。

石川テレビで今夕特集

 北陸中日新聞は石川テレビ放送と「守る」という言葉をもとに取材し、共同報道企画「守る」を隔週で、連載しています。今回から第3部「いのち」を始めます。石川テレビの特集は17日午後6時25分ごろからの「石川さんプライムニュース」で放送します。

 

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