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「守る」北陸中日・石川テレビ共同企画

【第3部 いのち】 下まで落ちたら、あとは上がるだけ。

利用者と食卓を囲む三井美千子さん=金沢市諸江町で

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金沢あすなろ会理事長 三井美千子さん

 私自身も多重債務による借金に苦しんだ一人です。営んでいた土木設計、測量の会社の設備投資で借金をし、月に百万円近い返済があったのに、公共工事の受注が減った影響で年間売り上げは四百万円ほどになりました。消費者金融だけでは足らず、高金利でも商工ローンも借りざるを得なくなったのです。

 そのときに駆け込んだのが「金沢あすなろ会」でした。会員には自営業で借金をした人が多く、皆で六法全書を開いて債務整理のための勉強をしました。民事訴訟で債務不存在を勝ち取り、あとは生命保険会社で働いて少しずつ返し、最近やっと払い終えました。

 当時、寝られない日もあって、「もうこのまま…」とも思いましたが、死ぬのだけは絶対に嫌だと思ったんです。性分なんでしょうけど、まだやりたいこともたくさんあるし、立ち直らないといけない。どれだけどん底に落ちても。

 相談者にも言いますけど、下まで落ちたら、あとは上がるだけ。口で言うほど楽ではないですけどね。上がるのには、倍ほど時間がかかります。十年でなくしたものは取り戻すのに二十年。だけど、何とか今、信頼してくれる人も増えてきました。

 昨年末、金沢あすなろ会を利用して生活を立て直した四十代の男性が突然、脳内出血で亡くなりました。山形県の人で金沢には頼れる人もいないようでした。派遣切りにあって二年前の十一月に来て、その年末には仕事を見つけて出ていった方です。「ボーナスが出たらブランドものを買ってあげる」と頑張っていたので、すごくショックでした。

 彼は私を信頼してくれて「三井さんに出会えて良かった」と言ってくれていました。亡くなったのは残念ですが、生きる希望を見つけてくれていたのなら、それは良かったかなと思います。

 仕事を探して生活を立て直していくには、ご飯も食べないといけない。生活に困った人が、ここで頑張る力を養って、人の役に立つ仕事をしたいと思ってくれればうれしいです。 (小坂亮太)

 みつい・みちこ 1950年生まれ。2018年10月からNPO法人「金沢あすなろ会」理事長。

 

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