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火災減…消防士どう育成 ホットトレーニング施設ない県内

出火想定の建物に進入、放水の訓練を行う金沢市消防局の消防士=同市泉本町で(市消防局提供)

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市消防局、技術指導員を配置

 全国的に火災件数が減り、現場経験の少ない若手消防士が増えている。実際の火災に近い訓練ができる「ホットトレーニング施設」の整備も進むが、県内にはまだない。県内最多の消防士を抱える金沢市消防局は勤務三年以下の職員を対象に指導員を置き、若手の知識と技術を高める訓練に知恵を絞っている。(押川恵理子)

 「現場経験の少なさは災害対応力の低下につながる」。市消防局消防司令の門村和仁さんは危機感を持つ。木造住宅の減少や住宅用火災警報器の普及に伴い、市内の火災件数は減少傾向にある。一九九七〜二〇〇〇年は年間百十一〜百三十四件で推移したが、一三年以降は百件を切った。一八年は五二(昭和二十七)年の七十四件に次いで少ない七十八件だった。

若手職員の割合増加

 加えて、〇七年以降に団塊の世代が退職し、勤務十年以下の職員の割合が、一〇年度の25%から一九年度は41%に高まった。

 職員四百二十六人のうち消防隊には二百十一人が所属。市消防訓練場(本江町)の五階建ての訓練棟で中高層の建物火災の訓練を行い、泉本町防災拠点施設では鉄骨二階建ての三棟を活用して、さまざまな想定で木造住宅火災の訓練を展開している。どちらも燃焼させての訓練はできない。

危険予知能力を磨く

 そこで市消防局は一八年夏に技術指導員二人を置き、勤務三年以下の職員向けに「KYT(危険予知トレーニング)」を始めた。さまざまな火災のイラストを見て、建物にはどの開口部から進入すればいいのか、局所的な火災が数秒から数十秒で広がる「フラッシュオーバー」を予見させる現象はないかなどを瞬時に判断する。勤務五年未満の消防士を対象に、過去の火災現場の映像から課題を探る研修も今春始めた。

 門村さんは「実火災に近い訓練方法や訓練施設のあり方についても研究していきたい。現場では一人一人の隊員の判断が重要となる。冷静に判断できれば一分一秒でも早い消火につながる」と話した。 

富山に実火災訓練施設

 都道府県と政令市の消防学校五十五校を対象とした消防庁の調査では一八年四月現在、十二校がホットトレーニング施設を整備した。北陸三県では富山県広域消防防災センターが同等の「実火災訓練施設」を持つ。一階建ての模擬家屋(一部屋)を燃焼させて訓練ができる。福井県消防学校とは毎年、合同訓練を行う。福井の担当者は「費用対効果を考え、現在は富山県と連携訓練をしている。ホットトレーニング施設は訓練棟の建て替えに合わせて考えたい」と話した。

 ホットトレーニング施設 木材パレットなどを燃焼させて熱気と煙を発生させ、火災の初期からピークに至るまで、実際の火災と同じような熱環境や煙を体験できる。コンテナを訓練用に改装した装置が多い。消防庁によると2018年4月現在、埼玉、山梨、岐阜、静岡、京都、大阪、鳥取、広島、愛媛、佐賀、長崎の各府県と、京都市の消防学校が整備した。

 

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