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日本唯一“ショウガ神社”なぜ金沢に 雨乞い満願 お礼のお供え

大手食品メーカーなどの名前がずらりと並ぶ社殿。宮司の田近章嗣さんが案内してくれた=金沢市花園八幡町で

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 日本で唯一、香辛料の神様をまつる神社が金沢市花園八幡町にある。エスビー食品や永谷園など大手食品メーカーの社員、ショウガ農家、カレー店主らが熱心に参拝する「波自加彌(はじかみ)神社」だ。はじかみは「かんで辛いもの」という古語。主にショウガを指すが、雨の多い金沢は生育に向かず、出荷量はほぼゼロだ。なぜ、そんな神社が金沢にあるの?(寺田結)

 「お礼としてショウガをお供えしたからです」と宮司の田近(たぢか)章嗣さん(61)は説明した。波自加彌神社史によると、奈良時代に干ばつがあり、人々が参拝して雨乞いを続け、三十七日目の満願日に神社の近くで水が湧き出た。その後、ショウガを奉じ、祭りが行われた。

 ショウガは近くで自生していたとされるが、JAグループ石川によると、雨の多い金沢では育ちにくい。農林水産省の二〇一七年度の作況調査では、北陸三県のショウガの作付面積と収穫量は、統計上、数値が出ないほどわずかしかない。

 田近さんは「干ばつで土が乾き、育ちやすくなっていた」と推測しつつ、もう一つの可能性を示唆した。「ショウガだったかは分からない」。中国から朝鮮半島を通って伝来したショウガが当時、自生していたのか。「ミョウガなら七〜九月に辺りで見られる」。この話、参拝に来るショウガ農家の方はショックかも。

 境内には、朝鮮半島のショウガを日本に伝えた伝説がある朝臣(あそん)・武内宿禰(たけのうちのすくね)をまつる摂社「じん兵堂(じんべえどう)」もあるが、この伝説も詳細は不明。田近さんは先代の父親から古い記録があると聞いたが、「資料が多すぎて、探せない」と苦笑した。

 手掛かりを探すと、「椒(はじかみ)」の字がつく「●椒神社」(兵庫県豊岡市)を見つけた。管理する小田井縣(おだいあがた)神社の宮司稲垣淳さん(75)に尋ねると、「ほそき神社と読みます」。名称のいわれは「神社が椒地区にあるからかな」。境内に「生姜(しょうが)塚」がある芝大神宮(東京都港区)も見つかったが、祭神は天照大神(あまてらすおおみかみ)と豊受大神(とようけのおおみかみ)だった。

 ともかく、波自加彌神社は六月十五日を「最初に奉納された日」と認定している。毎年この日、一年の無病息災を祈念する「はじかみ大祭」(通称しょうが祭り)を開き、参列者にしょうが湯を振る舞う。

 永谷園の広報担当は、香辛料の神として「波自加彌神社は別格」と話す。永谷園は「初奉納」の伝承に基づき、六月十五日を「生姜の日」と定めている。

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●は木へんに蜀

 

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