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<頂へ 月刊・藤井聡太七段> 強敵集う王将戦本戦リーグ

感想戦をする藤井聡太七段(左)と三浦弘行九段。三浦九段の扇子には、故・大山康晴十五世名人が記した言葉が=東京・千駄ケ谷の将棋会館で

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 全国の将棋ファンが注目した「第六十期王位戦」(中日新聞社主催)の七番勝負は、最終局にもつれこむ激戦の末、四十六歳の木村一基九段が史上最年長で初タイトルを手にした。その頂上決戦が東京で繰り広げられたのと同じ九月二十五日、大阪では、藤井聡太七段(17)=愛知県瀬戸市=の次期王位戦がスタート。予選の初戦で竹内雄悟五段(31)に勝ち、次なる頂に向けて一歩を踏み出した。

 竹内五段は、藤井七段が公式戦で五戦負けなしの相性がいい相手。中盤まで互角の展開だったが、先に持ち時間を使い果たした竹内五段を藤井七段が手堅く追い詰め、白星を挙げた。

 王位戦はシードが少なく、若手が活躍しやすい。藤井七段は初参戦した二〇一七年度、同期の大橋貴洸五段(27)に予選の準決勝で敗れた。昨年度は、初戦でいきなり関西の強豪山崎隆之八段(38)と当たり敗退。今回はその雪辱で、本戦リーグ入りを目指している。

 東京のホテルでは、その朝、豊島将之王位(29)=名人=と木村九段が、雌雄を決する第七局が始まった。「二人の戦いに注目しています」とは藤井七段の弁。竹内五段も「雲の上の戦い。面白く観戦させてもらいます」と語っていた。

 木村九段が激戦を制して初タイトルを獲得した瞬間には、筆者も思わずぐっときた。最初は質問に淡々と答えていた木村九段が、長年支えてくれた家族への思いを聞かれると、大きく息を吐いた後、メガネを外して何度も涙を拭った。「家に帰ってから言います。伝えたいと思います」。大切な言葉は胸にとどめた。本人がプロ入りからここまでに費やした時間は二十二年と五カ月。藤井七段の年齢よりも長い。タイトルの重さを、あらためて実感する。

 三十日も、東京で注目の一番が指された。王将戦本戦リーグの一戦目。A級棋士とタイトル保持者がずらりと並ぶ七人のメンバーに名を連ねた藤井七段が、三浦弘行九段(45)と戦った。

 二人は前月に福岡市であった将棋日本シリーズJTプロ公式戦で対局したばかり。その時は「藤井七段が知らないであろう作戦をぶつけてみた」という三浦九段が、藤井七段の猛追をいなし、百八十手の熱戦を制した。同棋戦は持ち時間わずか十分の超早指し。じっくり手を読む暇がなく、ベテランの蓄積がものをいう。しかし、王将戦は持ち時間が四時間あり、より実力を発揮することができる。

 対局は先手番の藤井七段が中盤から駒得を重ねてリードを広げ、快勝した。早めに決着するかに見えたが、終わってみれば今回も百三十五手の長い戦いに。苦しい状況でも粘り続ける三浦九段の指し回しは、前局で劣勢を悟るやきっぱり投了した谷川浩司九段(57)と対照的だった。

 「本局は完敗だったかもしれないが、気を引き締めて次局に臨みたい」と三浦九段。感想戦で当人が手にしていた年季入りの扇子の文字が、ふと目に入った。書かれていたのは故・大山康晴十五世名人の揮毫(きごう)だ。<助からないと思っても助かっている>。最後まで勝負をあきらめるな−そんな教えを信じ、ベテランは必死にあがいたのだろう。谷川九段とは真逆だが、これもひとつの美学なのだ。

 藤井七段も「大変な強敵ばかりなので、気を引き締めてやってゆきたい」と抱負を述べた。次の相手は豊島将之名人。公式戦で三戦して全敗している大先輩に、次はどんな戦いを見せてくれるのだろう。

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◆当面の主な予定 豊島名人と対戦

 強敵6人と総当たりする王将戦本戦リーグで、見事に白星発進した藤井七段。引き続き史上最年少でのタイトル挑戦を目指す。2戦目は7日に豊島将之名人と対戦。3戦目は久保利明九段とぶつかる。王位戦や棋聖戦の予選もあり、年末までハードな日々が続きそうだ。

 (岡村淳司)

 

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