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<頂へ 月刊・藤井聡太七段> 憧れの人と対戦

谷川浩司九段(右)との対局で初手を指す藤井聡太七段=大阪市の関西将棋会館で

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 学生が自由を謳歌(おうか)する夏休みが終わった。新学期を迎えて学業が忙しくなる藤井聡太七段(17)=愛知県瀬戸市=を待っていたのは、幼心に憧れた大先輩との初手合わせだ。八大タイトルの一つ「王将戦」の二次予選決勝で、「光速の寄せ」が代名詞の谷川浩司九段(57)と戦った藤井七段は、相手のお株を奪うような電光石火の踏み込みで快勝。初の本戦リーグ入りも決め、本年度中のタイトル奪取に望みをつないだ。

 突然の決着だった。一日午後三時二十八分、藤井七段が指した五十七手目を見て、谷川九段が投了を告げた。将棋の対局は百手前後で勝負がつくことが多い。しかし、この日は谷川九段が「大悪手」と振り返る手を中盤に指し、藤井七段に一気に攻め込まれた。

 終局は夕方以降だろうとのんびり待機していた報道陣(筆者を含む)は虚を突かれ、色めき立って対局室に駆け込んだ。その先にいた谷川九段は、「楽しみにしていたファンの方に申し訳ない」と苦渋の表情。持ち時間は谷川九段だけでも三十分以上残っていたが、無駄な延命を拒むかのような幕引きだった。その潔い姿勢から、あがいて棋譜を汚すまいとする大棋士の美学を感じた。

 二人には共通点も多い。中学二年でのプロ入り、詰め将棋作りの才能、圧倒的な終盤力、関西本部に所属していること…。藤井七段はプロ入り前、本紙インタビューで目標の棋士に谷川九段の名を挙げ、「僕も終盤型なので、『光速の寄せ』に憧れます」と語った。そんな相手からの、記念すべき初白星だった。

 ただし、喜んでばかりはいられない。本戦リーグは出場者七人の総当たり。藤井七段を除いた全員に、タイトルを獲得した実績がある。この先は、トップ棋士十人が争うA級順位戦よりも過酷だ。最近の藤井七段は強敵と当たる機会が増え、勝率が落ちてきた。史上最年少でのタイトル挑戦が懸かる王将戦は、大きな試練の場になりそうだ。

公式戦で初めて披露した藤井七段(左)の和服姿=福岡市で

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 話が前後するが、藤井七段は八月十一日、将棋日本シリーズの「プロ公式戦」に初めて出場した。タイトル保持者や賞金ランキング上位者らの計十二人しか出られない、プロ野球のオールスター戦のようなトーナメント。昨年二つの棋戦で優勝した藤井七段は、その小さな枠に滑り込み、史上最年少での参戦を果たした。

 一回戦は酷暑の福岡市。師匠の杉本昌隆八段(50)の盟友、三浦弘行九段(45)と相まみえた。ステージ上での公開対局で、観客数は前年の四倍近い千七百三十九人を記録。藤井七段を近くで見るために、前夜から並ぼうとしたファンもいた。対局は持ち時間各十分の超早指し。すぐ脇で大盤解説もするが、二人はまさに盤上没我の様子で、経験に勝る三浦九段が百八十手に及んだ熱戦を制した。

 敗れたものの、藤井七段は初めて和服で公式戦に臨んだり、観客向けのクイズで初めて封じ手を書いたりと、初めてずくめ。最後は「いい経験ができた。残念な結果になったが、この舞台に帰ってこられるよう頑張りたい」と語り、満場の拍手を浴びた。

◆当面の主な予定 タイトル戦予選次々

 注目は何といっても唯一本戦に残っている王将戦。本戦リーグで年内に挑戦者が決まり、年明けから渡辺明三冠との七番勝負が行われる。昨期二次予選の決勝まで進んだ棋聖戦は、今年も順調に一次予選を突破。昨年予選の初戦で敗退した王位戦(中日新聞社主催)も始まり、最初に竹内雄悟五段と戦う。

 (岡村淳司)

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