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<頂へ 月刊藤井聡太七段> 昇級へ再挑戦の夏

記者会見で師匠の杉本昌隆八段(左)について語る藤井聡太七段=名古屋市中区のホテルで

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 日本各地に夏の気配が漂い始めた。将棋界は棋士の序列を決める順位戦が始まり、いよいよシーズンが本格化してきた。昨期わずか一つの黒星でB級2組への昇級を逃した藤井聡太七段(16)=愛知県瀬戸市=は、心機一転しての再挑戦。激しい戦いの合間には、師匠の杉本昌隆八段(50)のお祝い会に参加し、やわらかな笑顔を見せた。

 杉本八段は二月、規定の勝ち数に達して八段に昇段。その後、藤井七段らと競り合った順位戦C級1組のリーグ戦を突破して、B級2組に昇級した。五十代の棋士の昇級は十三年ぶりで、プロ野球ならカムバック賞ものという。そんな快挙を記念し、東海地方の支援者が六月九日に名古屋市のホテルで「昇段・昇級を祝う会」を開いた。

 会場は大勢のファンでいっぱい。日本将棋連盟の佐藤康光会長(49)や三浦弘行九段(45)ら同世代のライバルをはじめ、大先輩の谷川浩司九段(57)、若手の永瀬拓矢叡王(26)ら豪華メンバーが駆けつけた。大村秀章愛知県知事や河村たかし名古屋市長らの姿も。長年地元棋界を支えてきた杉本八段の人望と将棋熱の高まりをあらためて感じさせた。もちろん、まな弟子の藤井七段も出席。杉本八段に花束を渡したり、師弟で大盤解説をしたりと大活躍だった。

 「昇段はさほどうれしくない。それだけなら、この会を辞退するつもりでした」。大きな拍手の中であいさつに立った杉本八段は、意外な胸の内を明かした。

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 勝ち数による昇段は、勝率が低くとも時間をかければ可能だ。しかし昇級は激しい競争を勝ち抜かなければ実現しない。厳しく線を引く言葉から、「強さ」にこだわる勝負師のプライドが伝わってきた。最近の杉本八段は「己が勝って評価されるべき世界。弟子の活躍で注目されるのは恥ずかしい」と奮起。藤井七段が逃した棋王戦本戦入りも果たすなど、棋界を席巻する弟子に勝るとも劣らない結果を出している。

 共に記者会見した藤井七段は、そんな師匠へのエールを聞かれると「プレーヤーとしては自分自身のことが一番大切」「棋士同士なので直接応援することはないですが…」と複雑な思いものぞかせた。師弟でもありライバルでもある二人。勝負に対して純粋な姿勢を見るにつけ、似たもの同士だなあとしみじみ思う。

 「順位戦では師匠に先に行かれてしまったので、来期は自分が頑張りたい」とも語った藤井七段。その初戦が六月十八日に、関西将棋会館で指された。

 相手は同じ板谷一門の村田顕弘六段(32)。後手番の藤井七段は中盤で豪快に角を捨て、激しく攻める道を選んだ。その後反撃されて危うげな場面もあったが、最後まで集中力を切らさず勝ちきった。来年三月まで続く長い戦いの始まりを白星で飾った藤井七段。「気負いすぎてもよくないので、自分の対局に集中して戦ってゆきたい」と落ち着いた様子だった。

 重要棋戦がもう一つ。現在ただ一つ本戦に残っているタイトル戦の竜王戦だ。トーナメント初戦の相手は、先の順位戦で初黒星を献上した近藤誠也六段(22)。藤井七段はあの時の悔しさを晴らすように、見事な勝ちっぷりを披露した。ただし、広瀬章人竜王(32)に挑戦するには、トップ棋士らを相手にあと五勝もしなければいけない。本人の真価が問われるのはこれから。目指す頂は、分厚い雲の上にある。

◆当面の主な予定 きょう久保九段と対戦

 竜王戦は5日にタイトル獲得7期の久保利明九段と対戦。勝てば準々決勝で豊島将之三冠、準決勝で渡辺明二冠と戦う。強敵の千田翔太七段を破って1次予選を突破した王将戦も要注目。師匠の杉本昌隆八段は、本戦に進んだ棋王戦で羽生善治九段と対戦する。

 (岡村淳司)

 

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