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斐太高“ブラック校則”生徒が変えた 黒色タイツの着用実現

校則改正に奔走した生徒会の(左から)丸山さん、井ノ下さん、牛丸さん=高山市三福寺町で

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 生徒に合理性のない規則を強いる「ブラック校則」。全国的に見直しの動きが進む中、飛騨地域の伝統校、斐太高校(高山市三福寺町)では生徒会が中心となって、学校に制服を規定する校則の改正を訴え、これまで認められていなかった黒色タイツの着用を実現させた。

 校則では、女子の制服で黒タイツを認めず、冬季にはベージュ系のストッキングかスラックスのみ着用できると定めていた。飛騨地域の県立高校六校で、黒タイツを認めていなかったのは斐太高校だけだった。

 防寒のためベージュ系のタイツは認めていたが、生徒からは「分厚いタイツは股引(ももひき)のように見える」と敬遠され、氷点下まで気温が下がる冬でも素足で登校する生徒が多かった。飛騨地域のほとんどの中学校では黒色タイツを認めており、「新たに買うのがもったいない」との意見もあった。

 そんな声を受けて動いたのが、前期生徒会長の牛丸裕太さん(18)と、副会長の井ノ下日菜さん(18)と丸山遼太郎さん(18)。牛丸さんは、校則の改正を公約に掲げ、会長選挙で選ばれた。

 生徒会は滝村昌也校長(59)との話し合いで、どのぐらいの生徒から校則改正の要望があるのか具体的な数値を求められ、全校生徒と保護者に黒タイツ着用の賛否を問うアンケートを五〜七月に実施。生徒の94%、保護者の88%から賛成の回答があった。この結果を受け、生徒会は防寒対策や経済的な観点といった理由を添え、着用を求める要望書を学校側に提出した。

 ところが、学校側は九月、色は主観の問題であることなどを理由に、校則変更を認めないとする回答書を全校生徒に配布。その前日には、校長から生徒会に「これが斐太高校の制服だから」と伝えられたという。

 一方、回答書では、外部の意見を取り入れるために、保護者や学校OBを交えた検討会議の設置を約束。生徒たちが保護者やOB会長らに経緯を話して理解を求めたこともあり、十月末の会議では、ほとんどの参加者から黒タイツ着用を認める意見が出た。

 検討会議の意見を受け、学校側も十一月十八日、ようやく着用を認める通達書を全校生徒に配布。校則の生活指針の欄に「冬季(十一〜三月)は黒色無地のタイツを着用してもよい」という文言を追加した。

 学校側が当初、校則変更を認めなかったことについて、滝村校長は「白ソックスにベージュ系タイツというのが、斐太高校の制服という認識だった。色が嫌だからという理由は合理的でなく、これまでの伝統もあった」と話す。

 黒タイツ着用を求める生徒たちの動きは、今回が初めてではない。「十年近く前から持ち上がっていた」と話すのは、昨年の生徒会長を務めた大学生、中田菜月さん(19)。生徒会は昨年も、着用の賛否を問うアンケートを作成した。

 だが、全校生徒に配布する段階になり、学校側からストップがかかった。理由は知らされなかったが、後日、生徒指導担当の教諭から呼び出され「制服は校則で決まっているから、生徒が動いたところで変えられない」と諭されたという。

 中田さんは「当時は納得できる説明をしてもらえず、悔しかった。下の世代が動いてくれて本当にうれしい」と語る。牛丸さんは「理由のない校則を、我慢しても解決しない。当事者である生徒たちが第一歩を踏み出すことが大切」と力を込めた。

◆学校と対等でなく声上げにくい現状

 <市民団体「子どもの人権ネットワーク・岐阜」の代表を務める河合良房弁護士の話> 生徒自らが行動に移したのは素晴らしいこと。だが、現実には多くの学校で、そうした土壌が整っていない。学校は生徒たちを権利主体ではなく、教育の客体として捉え、大人が良かれと思ったことを押しつけてしまう。生徒は、評価される側の立場にあり、力関係が対等でないので、声を上げられないのが現状だ。生徒側も、校則に悩む生徒だけの問題だと考えず、関心を持つことが大切。

 (西浦梓司)

 

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