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<緑の落城 FC岐阜 12年目の降格> (下)再昇格へ問われる覚悟

ホーム最終戦後、チームにエールを送るサポーター=長良川競技場で

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 来シーズン、初めて戦うJ3。ホーム試合数はJ2時代の二十一から減り、観客動員数と売上高の減少に直結する。リーグ配分金も削減。早期のJ2復帰を果たさなければ、積み上げてきた組織の基礎体力とスタジアムの熱気は奪われてしまう。

 J2各チームに支払われた今季のリーグ配分金は一億五千万円。それがJ3では三千万円と一気に減る。ただ、降格した翌年に限り降格救済配分金として九千万円が追加され、計一億二千万円が支給される。来季も今季通りの規定なら、来季だけはJ2時代の八割が保証されることになる。

 戦力の低下を最小限に抑えてJ3を戦えるのは有利だ。しかし来季に再昇格できなければ、いばらの道が待っている。大手コンサル「デロイトトーマツグループ」が九月に公表した資料によると、昨季の集客力はJ2とJ3で2・6倍の格差があったという。

 FC岐阜と最後まで残留争いを繰り広げた栃木SCは過去二季、J3を経験した。降格翌年に就任した橋本大輔社長は「アウェーのお客さんはほとんどこなかった」と振り返る。

 栃木はチケット単価を下げて観客減対策を図ったが、橋本社長は過ちだったことを認める。「サッカーの質は必ずしもお客さんの満足度にはつながらない」。スタジアム内の飲食を見直し、演出に力を入れるなど魅力を高めて集客力を向上。それに応えてJ2再昇格を果たした。

 チケット代やスポンサー料、選手獲得を含むチーム人件費をどう設定するのか。チームスタッフを刷新するのか、継続させるのか。岐阜もJ3で、多くの選択を迫られることになる。

試合後、岐阜サポーターの上空には虹が架かった=長良川競技場で

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 今季の長良川競技場は、黒星が続いてもにぎわった。アイドルグループのSKE48がライブでファンを魅了。元イタリア代表のデルピエロ氏のサッカー教室が行われるなど、スポンサーらの協力で“お祭り化”に成功したからだ。順位は二十二位でも観客動員数は十二位。一試合平均で六千六百人余りが足を運んだ。

 チームの存在感は会場だけにとどまらない。Jリーグ屈指とされるホームタウン活動は今年、サッカー教室や体操指導などで六百七十回と過去最高を記録した。十二年で積み重ねた回数は計五千五百回。延べ四十二万人と触れ合った。

 その価値は降格によって下がることはない。降格決定後、北野誠監督は会見でサポーターに向けた一言を聞かれ、「岐阜のファンはすごく温かい」とした上で「何年もかかってボタンが合わなかっただけ。ボタンがうまくはまれば、このクラブはJ2に復帰してJ1を目指せるクラブになる」と前向きに答えた。

 ホーム最終戦後に行われたサンクスセレモニーでもブーイングはほとんどなかった。岐南町の上村俊雅さん(32)の言葉に、サポーターの思いが凝縮される。

 「サポーターは続けていく。だって好きだから。岐阜にサッカー文化を根付かせた。FC岐阜は岐阜にとって、なくてはならないもの」

 セレモニーを待つサポーターの上空には、虹が架かっていた。来季、その虹を駆け上がるかのように再昇格を果たせるか。チームの覚悟が問われる。

 (この連載は沢田石昌義が担当しました)

 

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