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岐阜

「幸せのピエロ」贈り続け5万個 大垣の94歳手作り

手作り人形「幸せのピエロ」を手にする小寺栄さん=岐阜県大垣市上石津町で

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 帽子をかぶり、首にレースの飾りをつけた小さな布製の人形。岐阜県大垣市上石津町の小寺栄さん(94)は、「幸せのピエロ」と呼ばれる人形を手作りし、知り合いなどに贈っている。その数、15年間で5万個以上。「喜んでもらえることが何よりの幸せ」と地元への感謝の思いを込め、きょうも縫い上げる。

 人形は全長八センチほど。布を裁断してミシンで縫い、綿を詰めて足や手、頭を作り、それらをつないでレースをあしらう。ぶら下げるひもをつければ完成だ。

 できるのは一日に多くても十二、十三個。午前六時に起き、食事や日課の昼寝を除いて午後七時まで。一日も欠かしたことはない。足腰は弱くなったが、針に糸を通すのはお手の物だ。

 一つ、ルールを決めている。腹が立っている時は作業をしない。「自分の心が幸せでないと、受け取った相手も幸せにならない」との思いから。ただ「最近は腹を立てることもなくなった」。

「幸せのピエロ」。15年間で5万個以上縫い上げた

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 きっかけは十五年前。入院した夫・力男(りきお)さんの付き添いをしながら、手作りのペーパーフラワーを院内の人に贈るうち、看護師からクリスマスツリーに飾る人形作りを頼まれた。人形を見た入院患者からも望まれるようになった。

 一年ほどして、力男さんは八十三歳で亡くなったが、「お世話になった地元の人たちに、少しでもお返しができれば」と作り続けた。やがて、自宅を訪れた人が「子どものかばんにつけたらかわいい」と持ち帰ったり、福祉施設に届けてくれたり。知人などを通じて県内外に広く届けられるようになった。人形は五、六年前、誰が名付けたというわけではなく「幸せのピエロ」と呼ばれるようになった。

 材料の生地やレースは、愛知県一宮市に住む娘や孫が購入して届けてくれる。大垣市のめいは、人形と一緒に袋に入れる「94歳のおばあちゃんが作った 幸せのピエロ あなたに幸せが届きますように」との小さなメッセージカードを作ってくれている。

 地元の喫茶店にも人形が置かれている。先日、店に立ち寄ったというフィリピン出身の人から手紙が届いた。「幸せのピエロをいただきました。本当に幸せな事がきました。ずっと大事にしています」と書いてあった。宝物の一つになった。

 小寺さんは「この年まで元気に作れて、喜んでもらえることがうれしい。お父さんが守ってくれているのだと思う。死ぬまで作り続けたい」と熱意は衰えない。(生田貴士)

 

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