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畳平で診療、登山者に安心感 今季は20日間開所

体調不良を訴える今季最後の患者(左)に問診をする上家さん=乗鞍岳・畳平の乗鞍バスターミナルで

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 北アルプス・乗鞍岳の畳平(2702メートル)にこの夏初めて開設された診療所が9月28日、今季の診療を終えた。今季の利用者43人のうち、3分の1が高山病と診断された。専門知識を持つ医師の駐在に、患者や関係者から「安心感がある」との声が上がっている。

 二十八日午後一時すぎ。頭痛と吐き気を訴える女性(71)=千葉県茂原市=が診療所に現れた。この日駐在していた日本登山医学会の医師・上家和子さん(62)=東京=が問診をしたほか、脈拍や酸素飽和度などを測定。高山病ではないと判断し、安静にするよう促した。女性は「こんなに高い山でもしっかり見てもらえ、ありがたい」と感謝した。

 診療所がオープンしたのは八月九日。入山者の多い土日曜と祝日の計二十日間、日本登山医学会の医師十四人が交代で一日一〜二人ずつ駐在した。部屋には酸素ボンベのほか、頭痛薬や解熱剤などを置き、山岳診療所としては最低限の設備をそろえる。医師が診療所に宿泊するときもあり、夜間でも対応できるように備えた。

 開設に尽力した上家さんによると、乗鞍岳は車両で誰もが標高二、七〇二メートルまでアクセスできる手軽さゆえ、準備不足によるけがや高山病のリスクが高い。「スタート地点で既に富士山の七合目ほどの標高があるのに、観光気分で行ってしまう」と指摘する。

 畳平から最高峰の剣ケ峰(三、〇二六メートル)までは、徒歩で約一時間半。サンダルやハイヒールなど登山に適さない靴で登る人もおり、足首や、転んで地面に突いた手や腕をけがするケースが多いという。

 医師が駐在することで、けがや病の緊急度合いを適切に判断することができ、不要不急の救急搬送が減ることも期待される。八月中旬に六十代男性が転倒し、頭に裂傷を負ったケースでは、同行者の通報で救急車や山岳警備隊が出動する大騒ぎとなった。

 「出血が派手なため一見重傷だが、実際は軽傷。まずは小屋へ下りて相談してほしかった」と上家さん。一度救急車を呼ぶと往復二時間ほど占有することになると指摘し、「今までこのような不要な通報も多かったのでは」と推測する。

 診療所は来季もオープンする予定。上家さんは「十月まで診療期間を延ばし、平日も開けるようにしたい」と意欲を見せた。

 畳平で宿泊施設「乗鞍白雲荘」を営み、開設にも関わった小林正直さん(40)も「登山者の安全意識の啓発にもつながる」と期待する。

 (横田浩熙)

 【土平編集委員のコメント】今日紹介したのは、岐阜県高山市や飛騨市などを対象にした飛騨版の記事です。乗鞍岳はアクセスの良さで知られます。長野県で勤務していたころ、仕事のため、長野側の乗鞍高原に何度か自分の車で訪れましたが、ここでバスかタクシーに乗り換えれば標高2700メートル地点まで行けると聞き、少々驚いた記憶があります。記事には「手軽さゆえ、準備不足によるけがや高山病のリスクが高い」とあり、自分の経験からも納得します。北アルプスでは夏場、大学の医学部などによる診療所が開設される山がけっこうあります。畳平の診療所も来季以降、定着するでしょうか。

 

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