トップ > 岐阜 > 6月20日の記事一覧 > 記事

ここから本文

岐阜

憩いの駅前喫茶、閉店へ 多治見の商業施設30日営業終了

常連客と店の思い出を話す久野さん(右)=多治見市本町のさいわいテラ店で

写真

 多治見駅南地区の再開発事業に伴い、街の顔として親しまれた商業施設「駅前プラザ・テラ」が三十日に営業を終える。地階の喫茶店「さいわい」に四十六年間勤める久野あけみさん(68)=多治見市旭ケ丘=はこれを節目に退職する。閉店まであと十日。「残り少ない時間を大切に、最後までお客さんを迎えたい」と名残を惜しむ。

 「最近はコーヒーじゃなくてココアなのね」「みんなは元気? お仕事は順調?」

 昼下がりの店内で、常連客と穏やかに談笑する久野さん。常連客からは「あけみさん」と慕われ、これまでに訪れたほとんどのお客の顔を覚えている。「接客は奥が深い仕事。お客さんに心配されたり励まされたりして、それで続けてこられた」

 テラは一九七一年、駅前の地権者らの出資で建設され、名鉄多治見ショッピングセンターとして開店。名鉄が撤退した九九年からはテラと改称して営業を続けてきた。開店当初のテナントで唯一残るのがこの喫茶店で、久野さんは開店三年目から勤務してきた。

 転職活動中のアルバイトとして入り、そのまま正社員に。「この地域には他にない都会的なビルで、喫茶店員というのも憧れの仕事だった」。当時の店は鎖のカーテンが揺れるきらびやかな内装で、着飾った客も多かった。

改装前のカウンター内でほほえむ30代ごろの久野さん(左)=多治見市本町のさいわいテラ店で(さいわい提供)

写真

 昔の商店街のような温かみもあった。休日には他のテナントの店員たちと海水浴やスキーへ。夫の正秋さん(70)も食品売り場の元店員で、休憩時間に同僚とともに喫茶を訪れて出会った。「たくさんの人と友達になれて、このビルは自分の家のように落ち着けるところだった」と懐かしむ。店には開店当時の空調機械も残り、目に入ると古い思い出がよみがえる。昔の客の子や孫が新たな常連になった。

 他の店員は市内の系列二店に移る。三年後に完成する新商業ビルに同店が入るかどうかは未定だが「しばらく仕事以外のことに取り組むつもりだけど、また働きたくなるかも。三年後、新しいお店から声がかかったらうれしいわね」とほほ笑んだ。

 (野瀬井寛)

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索