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<依存の構造>(2) 膨大な寄付金

関電からの協力金について説明した1978年8月の「広報たかはま」。支出先は均等に記されていた=高浜町で

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 「なんぼ入ったのか、何に使われたのか、未だにはっきり分からんのです」。高浜町議を十一期務める渡辺孝議員(共産)は四十年以上前の出来事を苦々しく振り返る。

 高浜町が、高浜原発3、4号機増設を目指していた一九七八(昭和五十三)年、町内は関西電力から渡った「地元協力金」をめぐり揺れた。

 同年四月、町内の五漁協組に、関西電力の協力金が町を通じて支払われていたとの報道が出た。その後、浜田倫三町長は町議会で、総額九億円を受け取ったと明らかに。七六年十月に一億円、同十二月に一億五千万円、七七年六月に六億五千万円受け取ったとし、五漁業組に計三億三千万円を支払い、五億一千万円を地域振興対策費として計上したなどとした。浜田町長は「国が増設を認めることがはっきりした段階ですべてを明らかにするつもりだった」と説明した。

 住民側は、受け取ったことすら長らく公表せず、町長名義の預金として処理していたことなどに反発して監査請求を行った。監査委員は町長と関電が交わした協定書から一年が経過したことから「監査請求できない」とした上で、「有効適切な運用」だったと結論付け、却下した。町は各戸に配った広報で「ちまたに誤った風評が流れておりますが、町は正しく運用致しております」と強調した。

 その後、浜田町長に対する損害賠償請求の住民訴訟に発展したが、福井地裁は「訴えは不適法」と却下。反対運動もある中、高浜3、4号機増設へと進み、八五年に相次いで運転を開始する。

 だが渡辺議員は「本当は九億円ではなく二十五億円だったと(助役だった)森山栄治氏の手帳に書いてあったのを見た」と当時、議会関係者から聞いたと明かす。使途の詳細についても今も疑問視する。

 地元協力金などと呼ばれる電力会社から原発立地自治体への寄付金は、連綿と続いてきた。町の決算書などによると、七〇年代以降、関電から高浜町への寄付金は総額で少なくとも約四十四億円。そのうち、森山氏が助役に在任した七七〜八七年は約三十六億円に上る。

 元町議は「寄付金についても、森山さんが関電との間を取り持っていたことは間違いない」と指摘する。「九億円」が明るみに出た当時、森山氏の発言が本紙に載っている。「3、4号機の総工費は三千五百億円。仮に1%をもらったとしても、いくらになるか。全国的に原発立地が困難な中で、高浜町は進んで建設を認めているのだ」「関電といってもむやみに金を出すはずはない。機会をみては要求してきたのだ」

 原発立地自治体は、電源三法に基づく交付金を得ることができる。寄付金は、それとは別で法には基づかない。寄付金の不透明さはたびたび指摘され、交付金に加え寄付金を受け取るのは「二重取り」に当たる。交付金も寄付金も、最終的には電気料金に転嫁される。

 渡辺議員とともに、関電から高浜町への金の流れなどを追及してきた「原発設置反対小浜市民の会」の松本浩さん(80)は主張する。「関電と高浜町政は持ちつ持たれつの関係の中で、不透明なことを続けてきた」

 【土平編集委員のコメント】 今日紹介したのは、福井県全域を対象にした福井版の記事です。関西電力の役員らが福井県高浜町の元助役・森山栄治氏(故人)から多額の金品を受け取っていたことが発覚してから約1カ月。「まんじゅうと金の小判」など、時代劇かと突っ込みたくなるような道具立てもあり、関心を呼びました。ただこの問題は役員と森山氏の間だけにとどまらない、電力会社と原発立地自治体の根深い関係があります。両者の「依存の構造」を探る連載は27日付で始まり、本日が2回目。記事が指摘する通り、寄付金など自治体に入る金は最終的には電気料金などで国民が負担しています。関西電力の調査任せにせず、やはり国会などでの解明が必要ではないでしょうか。

 

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