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洋上に風力発電所構想 あわら、坂井両市沖

洋上風力発電の建設地として注目されているあわら、坂井両市の沖合=坂井市三国町浜地上空で、本社ヘリ「まなづる」から

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 原発が集中立地する県の沖が、洋上風力発電所の建設区域として注目を集めている。あわら、坂井両市の沖を中心に電力大手やゼネコンを主体とする共同企業体(JV)などによる4つの構想が浮上。高さ250メートルの新機種導入の計画もあり、両市沖だけで総出力は50万キロワットを超える。建設が進めば、東日本大震災以降加速する再生可能エネルギーでも「供給県」となりそうだ。

 政府は昨年七月改定したエネルギー基本計画で、原発を「重要なベースロード(基幹)電源」とする一方、太陽光や風力など再生可能エネルギーについて初めて「主電源化を目指す」と位置付けた。同十一月に法整備もされ、特に効率性やコスト面で普及が期待されるのが洋上風力発電。導入済みは計二万キロワットですべて国の実証事業だが、設置の影響を調べる環境アセスメントの手続き中の案件は計五百四十万キロワットに上る。

 あわら、坂井両市沖で検討されている案件は環境アセス以前の各事業者による調査の段階。昨年夏までに沖合一〜八キロの区域での建設に向けて両市や地元関係者に打診があり、計画は▽一万キロワット級を十五基▽八千キロワット級を二十四基▽六千キロワット級を三十基▽二千キロワット級を四基−など。二千キロワット級の四基は三井不動産(東京)が中心となってあわら市北潟沖一キロに建設予定で、同社は福井市沖でも同規模の構想を持つ。環境アセスや地元との協議などを経て、いずれも完成は早くても七、八年後になる。

 三井不動産によると、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の洋上風況マップを参考に、安定した風況と水深などを基に好立地と判断した。業界各社でつくる「日本風力発電協会」(東京)の上田悦紀(よしのり)国際・広報部長は「日本海側は太平洋側より風が安定している。北陸は東北ほど平均風速はないが、原発や火力発電所があるため既存の送電線に空き容量が見込め、初期費用が抑えられる点が利点ではないか」と話す。

 経済産業省資源エネルギー庁の担当者は「洋上風力発電は地域経済への波及効果も高い。風力発電関連メーカーだけでなく、建設や運転、保守点検など地域との結び付きが強い産業も含まれる」と後押ししたい考えを示した。

◆少ない国内実績 観光、漁業関係者に不安

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 洋上風力発電は国内での実績が少なく、歴史も浅いだけに、坂井、あわら両市の観光、漁業関係者の戸惑いや不安は大きい。

 坂井市沖が候補地となっていることについて、開会中の市議会三月定例会で市側の考えが問われた。坂本憲男市長は「市の海岸は全国的にも有名な景勝地で、夕日百選に選ばれるなど重要な観光資源。景観や自然環境に支障がある場所への設置は避けるとともに、魚類や渡り鳥への影響についても調整するよう伝えた」と答弁した。

 建設区域付近の沿岸は越前加賀海岸国定公園で、昨年十月に市観光連盟や環境団体「エコネイチャー・さかい」、市三国観光協会が配慮を求める要望書などを市に提出した。

 あわら市も同様の考え。二〇一一年から北潟区で風車十基が稼働し、隣接の波松区で二〇年の稼働を目指して建設計画が持ち上がるなど、陸上の風力発電では先進地だが「(洋上風力発電の整備推進は)国策として理解はするが、観光、宿泊客は、東尋坊や芝政ワールドなど坂井の観光地に訪れる割合が高い」(市幹部)と歩調を合わす。

 問題は観光面だけではなく、三国港機船底曳(そこびき)網漁協の浜出征勝組合長(75)は「巨大な構造物ができると、海流や航行への影響はどうなるのか」と懸念。北潟漁協の辻下義雄組合長(65)も「影響が読めない」と話す。

 (北原愛)

 

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