トップ > 一面 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

一面

新型肺炎、効く既存薬探せ スパコンで作用解析

新型コロナウイルスの立体構造を示す東京工業大の関嶋政和准教授=東京都目黒区で

写真

 特効薬がない新型コロナウイルスによる肺炎(COVID(コビッド)19)の治療法を見つけようと、既存の薬に狙いを絞った研究が世界で活発化している。人への投与実績があり、短期間で治療に活用できる可能性が期待されるからだ。日本の研究チームもスーパーコンピューターなどで解析を進めている。

 「情報さえあれば、実験はその後で進められる。ウイルスのゲノム(全遺伝情報)配列の公開を受け、一月下旬に研究を始めた」。日本医療研究開発機構(AMED)のチームを率いる中村春木・国立遺伝学研究所特任教授は、こう話す。

 新薬の開発には通常十年以上の年月が必要。しかし刻々と患者が増える新型肺炎では、そう時間はかけられない。

 情報公開を巡り批判されることが多い中国だが、ウイルスに関する科学的データの公表は迅速だった。ゲノム配列を公開したのは一月十日ごろ。中村さんは「既存薬なら早く利用できる可能性が高い」として、神戸大や産業技術総合研究所の仲間に解析を呼び掛けた。

 どの薬が効くのか。かつては経験則や理論から導き出して実験で試すしかなかったが、今はウイルスのゲノム配列などの情報を基にコンピューターで薬との反応をシミュレーションすることが可能だ。効く可能性の高いものを早く絞り込むことができる。

 新型コロナウイルスは二〇〇二〜〇三年に世界で流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)のコロナウイルスと遺伝子が八割以上共通だ。「その知見が生かされてスピード感につながっている」とチームメンバーの東京工業大の関嶋政和准教授(情報工学)は指摘する。中国の上海科技大は一月下旬、ウイルスの立体構造を突き止め、治療に使える可能性がある三十種類の化合物名を発表した。

 関嶋さんは上海科技大から提供を受けた立体構造情報をスパコンで解析。国内外で患者の治療に試験的に使われている抗エイズウイルス(HIV)薬などが、ウイルスにどう作用するのかを調べている。

 AMEDの担当者は「三月中には最初の成果が見えてくるのではないか」としている。

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索