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吉野彰氏にノーベル化学賞 リチウムイオン電池開発

ノーベル化学賞の受賞が決まり、笑顔で記者会見する吉野彰さん=9日午後7時58分、東京都千代田区で(中西祥子撮影)

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 スウェーデン王立科学アカデミーは九日、二〇一九年のノーベル化学賞を吉野彰・名城大教授(71)=旭化成名誉フェロー、一八年中日文化賞受賞=ら三氏に授与すると発表した。授賞理由は「リチウムイオン電池の開発」。スマートフォンやノートパソコン、電気自動車(EV)まで幅広い電源に利用され、情報化社会の広がりとクリーンエネルギーの普及に貢献したことが評価された。

 吉野さんとの共同受賞が決まったのは、ジョン・グッドイナフ米テキサス大オースティン校教授(97)と、マイケル・スタンリー・ウィッティンガム米ニューヨーク州立大ビンガムトン校特別教授(77)。グッドイナフさんはノーベル各賞を通じて最高齢の受賞になる。

 日本人の化学賞受賞は一〇年の鈴木章・北海道大名誉教授、根岸英一・米パデュー大特別教授以来で八人目。各賞の受賞者は計二十七人になった(授賞時に米国籍の二人を含む)。

 吉野さんは東京都内で記者会見し「非常にうれしい。(リチウムイオン電池を搭載した)電気自動車が普及して巨大な蓄電システムができれば、太陽光発電なども普及し、環境問題の解決に貢献できる」と述べた。

 リチウムイオン電池は、繰り返し充電して使える蓄電池で「二次電池」とも呼ばれる。グッドイナフさんは一九七八年から英オックスフォード大で電池の研究に取り組み、プラスの電極(正極)にコバルト酸リチウムを用いることで、何回も充電して使える電池ができる可能性を示した。

 ウィッティンガムさんは七〇年代初めに金属リチウムをマイナスの電極(負極)に使った電池を開発し、現在のリチウムイオン電池の基本原理を突き止めた。

 吉野さんは電気を通すプラスチック「ポリアセチレン」を負極に使い、コバルト酸リチウムを正極として電池の原型を製作。その後、負極を炭素繊維に替え、正負の電極が触れ合ってショートしないようにセパレーターで仕切るなど、独自の構造を工夫し、八五年に実用的なリチウムイオン電池を開発した。

 授賞式は十二月十日にストックホルムで開かれる。賞金は九百万クローナ(約九千七百万円)を三人で等分する。

 <吉野 彰氏(よしの・あきら)> 1948年1月30日、大阪府吹田市生まれ。70年京都大工学部石油化学科卒、72年京大大学院工学研究科を修了し、旭化成工業(現旭化成)に入社。電池材料事業開発室長などを経て、2003年に同社フェロー。05年に同社吉野研究室長、15年顧問。17年から名誉フェロー、名城大教授。電池材料メーカーによる技術研究組合「リチウムイオン電池材料評価研究センター」(大阪府)の理事長も歴任。04年に紫綬褒章受章。13年にロシアのノーベル賞ともいわれるグローバルエネルギー賞、18年に中日文化賞、日本国際賞、19年に欧州特許庁の欧州発明家賞を受賞。神奈川県在住。71歳。

 

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