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棋士の昼食、対極の手 将棋は外食業が協力、囲碁は廃止検討

将棋会館に横付けしたキッチンカーで調理し、王将戦2次予選で対局する藤井七段と中村七段に届けられる「勝負メシ」(由木直子撮影)=8月26日、東京都渋谷区の将棋会館で

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 勝負の世界に生きる棋士の昼食事情に、将棋と囲碁で正反対の動きが起きている。将棋界では、最年少棋士の藤井聡太七段(17)らの昼食が「勝負メシ」として紹介されて注目を集め、外食産業も棋戦スポンサーに加わった。一方、囲碁界では、棋士から昼食休憩を廃止したいとの主張が出ている。

 日々、真剣勝負が繰り広げられる東京・千駄ケ谷の将棋会館前に、昼食時になると、おいしそうなにおいが漂う。中華料理チェーン「大阪王将」のキッチンカーが七月以降、館内で対局中の棋士に届ける勝負メシを調理している。

 今年で創業五十周年の大阪王将は「伝統」「本格感」を伝える記念事業として将棋に着目。八大タイトルの一つで、名前が同じ「王将」戦に特別協賛し、同棋戦の対局の一部にキッチンカーを出動させている。

 王将戦の予選の対局で、藤井七段は特別メニューの「覚醒のネギあんかけ炒飯(チャーハン)」を注文し、ギョーザを追加した。かなりのボリュームだったが完食。関係者に「ネギの風味があっさりで、あっという間においしくいただきました」と感想を伝えた。

藤井七段が注文した「覚醒のネギあんかけ炒飯」(左)と中村七段の「大胆不敵な生姜(しょうが)焼き炒飯」=8月26日、東京都渋谷区の将棋会館で

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 長時間の対局に臨む棋士にとって、食事も勝負の一要素。一昨年、藤井七段が史上最多の二十九連勝を達成した際は「胡麻味噌(ごまみそ)とじうどん」「豚キムチうどん」などの昼食メニューがテレビやネットで紹介され、一気に注目が高まった。

 大阪王将を運営するイートアンド(東京都品川区)の担当者は「棋士の皆さんにも楽しんで協力していただき、反響は大きい」と満面の笑み。特別メニューは「ファンにも体験してほしい」と順次、店舗で販売している。

 ◇ 

 反対に、昼食休憩の廃止が検討されているのが囲碁界だ。背景には、世界戦で日本勢が中国や韓国に後れを取る中、「国際標準に合わせたい」との棋士たちの意向がある。

 中韓では囲碁は「頭脳スポーツ」と位置づけられ、通例、休憩なしで終局まで打ち続ける。日本棋院の東京棋士会会長を務める武宮正樹九段(68)は「真剣勝負のさなかに休憩というのは水を差される感じがあった。近年は囲碁AI(人工知能)が強くなったことで、休憩中の不正を懸念する声も強まっている」と語る。

 囲碁界は現在、持ち時間二〜三時間の対局に昼食休憩が四十五分間、四〜五時間の対局に昼食と夕食休憩が四十五分間ずつ設定されている。日本棋院では、三時間以内の対局での休憩撤廃を検討している。武宮九段は「中国の公式戦のように対局場の一角に軽食を用意すれば、栄養補給は自由にできる。世界で戦っていくためにも、棋士が対局に集中できる環境を整えてほしい」と話している。 

 (樋口薫)

 

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