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中電が水素発電実用化へ NEDOと共同研究、脱化石燃料探る

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 天然ガスや石油などの化石燃料の代わりに水素を燃やして発電する「水素発電」の実用化に向け、中部電力が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同研究を進めている。水素は燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しないため、導入できれば化石燃料を使った火力発電を抑制し、温暖化対策に役立てることができる。

 水素発電は国が二〇一七年に策定した水素基本戦略で、「低炭素化を図る最重要のアプリケーション(活用策)」として、三〇年ごろの商用化を目指すと位置付けられている。

 中電などの共同研究は一八〜一九年度の二年間で、既存の火力発電所の設備を利用して水素発電が可能かを探る。水素は天然ガスよりも燃焼時に高温になるため設備を損傷させる恐れがあるほか、燃焼が安定しないなどの課題がある。このため、発電所の過去の運転データを使い、水素を導入した場合の発電性能や設備への影響などをコンピューター上でシミュレーションする。

 NEDOがこれまで川崎重工業などと進めた研究では、一八年四月に千キロワット級の小型発電機で水素発電を行い、公共施設などに電力を供給する実証実験に成功した。五十万キロワットの大型ガスタービン発電機を使った実験では、天然ガスに20%の水素を混ぜた方式で安定的な発電ができたという。

 水素は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーでつくった電気で水を分解して生成することもできる。NEDOの横本克巳主任研究員は「CO2を出さずに生成した水素で発電ができれば、温暖化の原因になる化石燃料の使用量を減らせる」と意義を説く。

 中電幹部は「水素発電が必要になったとき、慌てて対応しては手遅れになる」と話す。二年間の研究成果を踏まえ、火力発電所で水素とガスを混ぜた方式で発電する実験も検討する。

◆余剰再エネも活用

 次世代の発電技術として水素発電が注目されるのは、化石燃料を使った火力発電の代替以外にも、余った再生可能エネルギーの電気で水素をつくって蓄えておき、必要な時に燃料としての活用もできるからだ。再エネを使って水素をつくる技術は実証段階だが、実用化できれば出力が不安定な太陽光や風力発電の普及拡大を後押しできる。

 太陽光発電の導入量が多い九州地方では昨年から、工場などが休止して電力需要が少ない休日を中心に、太陽光発電所の出力抑制が続いている。電気は常に需要と供給が等しくなるよう調整する必要があり、バランスが崩れると、昨秋の北海道地震で起きた全域停電(ブラックアウト)につながる恐れがあるためだが、エネルギー関係者には「使えるエネルギーを捨てている。非常にもったいない状況」と残念がる声もある。

 太陽光発電や風力発電で水を電気分解し、生成した水素を貯蔵できれば、発電量が増えすぎた時には電気をためることができる。NEDOの横本克巳主任研究員は「水素発電は、再エネで発電した電気の安定化にもつながる」と期待する。

 ただ、再エネ由来の水素を安定的につくるには、低コスト化が必須だ。少なくとも生成費用を現状の二割以下に抑えなければ、商用ベースでは活用できないと政府は試算する。低コスト化には効率的に大量生産する技術の確立や、燃料電池車の普及や都市ガスの代替といった発電以外の用途の拡大などが鍵となりそうだ。

 (石原猛)

 

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