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英、EU離脱延期可決 「6月末まで」合意案承認が条件

14日、ロンドンで、英下院の討論に出席するメイ首相(前列左から3人目)=ロイター・共同

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 【ロンドン=沢田千秋】英下院(定数六五〇)は十四日夕(日本時間十五日未明)、二十九日に予定されていた欧州連合(EU)離脱を延期するメイ英首相提案の動議を賛成多数で可決した。これまで下院で二度否決された離脱合意案が二十日までに可決されることを条件に、六月末までの延期をEUに要請する。ただ延期にはEU加盟二十七カ国の全会一致の合意が必要で、合意案の承認も見通せない。

 動議は、賛成四一三、反対二〇二の大差で可決された。十二日の離脱合意案、十三日の「合意なき離脱」の是非と、三日間続いた採決で、政府提案が可決されたのは初めて。

 しかし、賛成票のうち与党・保守党は百十二票だけ。メイ政権のEU離脱担当相、国防相ら閣僚や強硬離脱派など保守党内の三分の二は「二〇一六年の国民投票で示された民意に背く」として反対し、メイ氏の求心力低下があらためて浮き彫りになった。

 動議は、二十一日開会のEU首脳会議前日までに合意案の承認採決を行うと明記している。承認されれば、離脱に伴う国内関連法の整備を理由に、EUに対し六月末まで三カ月の延期を打診する。

 一方、否決の場合は、延期の打診はするものの、期間は未定。動議では「EUは首脳会議で、明確な延期理由と期間を求めてくる可能性が高い」とし、延期期間が長期となる可能性を示唆した。三カ月以上の延期となれば、五月末の欧州議会選挙に参加を求められる可能性が高い。最大野党・労働党のコービン党首は「国民の要望に応える打開策を下院全体で話し合う。合意案と合意なき離脱に、もはや可能性はない」とし、合意案に賛成せず、EUから延期了承を得る案を超党派で模索する方針だ。

◆描けぬ展望 問題先送り

 <解説> EU離脱を巡り英下院は、現行の合意案、合意なき離脱、離脱の延期について三日連続で賛否を問うた結果、二十九日の離脱予定日の延期を選択した。だが、現段階で延期が決まる保証はない。社会を大混乱に陥れる「合意なき離脱」を完全に回避できたわけでもなく、問題を先送りしただけだ。

 現行の合意案に固執するメイ氏は、延期の機会を利用して、合意なき離脱も辞さず、これまで二度の採決で合意案に反対してきた強硬離脱派の翻意を狙う。

 延期の動議では、EUの合意が得やすい六月末までの延期に、合意案への賛成を条件づけた。否決されれば「EUは明確な延期理由と期間を求めてくる」として、強硬離脱派が拒否する長期の延期を招くことになると圧力をかけた形だ。

 七月一日からは、英国が七十三議席を維持する欧州議会(任期五年)の新会期が始まる。延期がずれ込めば五月の議会選に候補者を出さなければならず、離脱撤回の議論が強まる。

 さらに、野党・労働党を中心に再度の国民投票を求める声が高まるのは必至。いずれも強硬離脱派が最も嫌う状況に陥る。

 三度目の合意案採決は、下院に対する「踏み絵」ともいえるが、二度否決された合意案と同じ中身が可決される保証はまったくない。三年前の国民投票で示されたEU離脱という民意は、万策尽きた政治ゲームに翻弄(ほんろう)されている。

 (ロンドン・沢田千秋)

 <英国の欧州連合(EU)離脱> 2016年6月の国民投票で、英国は離脱51・9%、残留48・1%の僅差で離脱を選択。メイ英首相は17年3月、EUの基本事項を定めたリスボン条約50条に基づいて離脱を通告し、EUとの間で離脱合意案をまとめた。しかし、英領北アイルランドの国境管理問題などを巡り、英下院は1月と今月12日の2度、合意案の承認を否決した。29日はリスボン条約が定めた2年の交渉期限の満了日。

 

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