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プリオン病の抑制成功 岐阜大「最短3年で治療薬」

プリオンの模型を手に新薬について話す桑田教授=岐阜市柳戸の岐阜大医学部で

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 人のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)や、牛海綿状脳症(BSE)などの難病「プリオン病」の進行を食い止める物質を、岐阜大を中心とする研究グループが開発した。人に近いサルへの初めての投与実験で効果が確認された。治療薬として、最短で三年での実用化を目指す。二月に英科学誌ネイチャー・バイオメディカル・エンジニアリング(電子版)に発表した。

 開発したのは、動物や人に起きるプリオン病を長年研究する、岐阜大大学院連合創薬医療情報研究科の桑田一夫教授(62)らのグループ。

 プリオン病は、脳内のタンパク質「プリオン」が異常化するために起きる。進行を食い止める物質は有機化合物で「モレキュラーシャペロン」(MC)と名付けた。「分子の伴侶」を意味する。

 研究では、複数のサルを人為的に異常型プリオンに感染させると、一年半後にプリオン病特有の認知症に似た症状が出始めた。MCを毎週投与したグループは、半年間の投与期間中は症状が進行しなかった。一方、投与しなかったグループは運動機能が低下するなどし、三カ月後に死んだ。

 これまで桑田教授らは、核磁気共鳴装置による解析で、正常型のプリオンの表面に「へこみ」があることを発見。この部分を有機化合物で筋交いのように埋めて安定させ、変異を防ぐことを考えた。二〇〇七年、へこみに合う有機化合物をコンピューター上の計算でデザインし、炭素や窒素、水素、酸素などを結合させて人工的に作り出すことに成功。異常型プリオンに感染させたマウスに注射すると、注射しなかったマウスより三週間長く生きた。

 今回のMCは「化合物の組成を計算でさらに最適化させた」といい、より高い効果が出たとみられる。

 ヤコブ病は、有効な治療法がなく、多くは認知症や視力障害、めまいなどの症状が出てから一〜二年ほどで死亡する。国内では百万人に一人の割合で発症するとされ、現在の患者は約二百人。年間約百例の発生がある。

 桑田教授は「患者数が少ないため、大手製薬会社が手を出さない分野だった。今回の結果は、実用化への大きな一歩となった。苦しむ患者を救うため、一日も早く治療薬を完成させたい」と話している。

 (小倉貞俊)

 

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