トップ > 特集・連載 > 子育てママを応援する「with mama」 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

子育てママを応援する「with mama」

<ママ’sボイス> 「規格外」こそおもしろい

写真
写真
写真

  実家は江戸時代後期から代々受け継いできた土地で、野菜作りをしてきた。県職員を退職した母親が二〇〇八年、先祖の名前から取った「重兵衛」の屋号で、本格的に農業と野菜の直売を開始。一方で、藤村さん自身は農業と関わりのないさまざまな仕事を経験してきた。英会話講師だった二十六歳のときに結婚。二人目を出産してから、母親を手伝うようになり、次第に農業にひかれるようになった。

 農業高校も農学部も出ていないので、農業の知識はゼロでした。だから、農家の人が「こういうもの」と言うことが引っ掛かった。例えば、キャベツやニンジンにチョウの幼虫がつくんですが、母は「取って踏め」と言うんです。でも、かわいそうで踏めないんです。農家にとっては害虫だけど、ひらひら飛んで授粉を手伝ってくれることもある。例えばスイカの授粉は普通、人間が手作業でやりますが、うちの畑ではチョウに手伝ってもらっています。

  今年三月に大学職員を退職し、農家一本で働き始めた。母親と二人三脚で約五十品種の野菜を育て、畑で対面販売し、地元の直売所にも出荷。すべて無農薬にこだわる。食品の安全だけではなく、消費者に届けたい思いがあるからだ。

 今の農業では大きかったり、小さかったり、曲がったりした野菜を「規格外」としてはねちゃう。でも同じ畑で育てても、どうしても大きさはそろわないんです。土の中にいる虫や小動物がかじることもある。それをわざわざ農家がきれいにそろえてしまうので、消費者は「ニンジンはこれくらいの太さや大きさが普通だな」って思っちゃうんです。でも畑に行けば、いろんな個性のニンジンがある。だからあえて小さいものも交ぜて売るようにしています。消費者の気づきになるでしょうし、面白いと思ってもらえたらいいなと。

  母の日に合わせ、野菜をきれいに包装した贈答用の「野菜アレンジメント」も発売。津市内の直売所やインターネットで販売し、好評だった。二人の子を育てながらの畑仕事は決して楽ではないが、野菜作りは育児のヒントも教えてくれる。

 例えばスナップエンドウは、幹を太くするのにエネルギーを費やすため、わざと花を全部ちぎります。そういうのを見ると、小さいころに失敗させないといけないなと思うんです。たくさん失敗させて強い土台を作ったほうが、ゆくゆくはいい実になるんだと。それから、タマネギは弱々しい苗のときは二つまとめて植えます。そうすると、競合して二つとも大きくなる。だめかもっていう子でも大きく育つんです。そして野菜と同じで、子どもも一人一人個性がある。ちょっとくらい先っぽが伸びきらなくても、曲がっていても、食べたら十分おいしいんですよ。こういう学びが畑にはいっぱいあって、少しでも伝わればいいなと思って、野菜アレンジメントも作っています。

  畑がある津市木造町は近くに雲出川が流れ、たびたび氾濫したため、上流から肥沃(ひよく)な土が運ばれた。水害を防ぐため、江戸時代に用水路なども整備された。農業に専念するうちにこうした歴史も知り、愛着も湧いた。

 二百年以上前の話ですけど、先人が残した土地を守る人がいないのはすごく寂しいなと思います。歴史ある土地を守らないといけないなと。農地を次につないでいくために、なるべく環境に負荷のかからない農業もしていきたいです。

 <ふじむら・あい> 1979年生まれ。会社員の夫(39)と、10歳と5歳の娘を育てる。

◆今回の読みどころ

 先人の土地を守り、安全な野菜を届けるため奮闘する藤村さん。農業は子育てにつながるヒントを教えてくれました。

(文・熊崎未奈 デザイン・伊藤亜美 紙面構成・望月海希)

※次回は12月27日です

 

この記事を印刷する

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索