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子育てママを応援する「with mama」

<みえ子育てリアル> 病児保育

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◆利用に高いハードル

 子どもが急に体調を崩した。でも仕事は休めない―。多くの働く親が直面する問題だ。そんな子育て世代の助けとなるのが病児保育。全国的に施設やサービスが徐々に整備されてきている中、県内はどうだろうか。現状を探った。

体調を崩した赤ちゃんの面倒を見る保育士=津市大倉の津病児デイケアルーム「ひまわり」で

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■突然の発熱

 子どもの病気はいつも突然だ。津市の三十代女性は六月のある週、熱を出した一歳の長男のため、有給休暇を使って二日、仕事を休んだ。仕事に戻ろうと思っていた月曜の朝、今度は長女(3つ)が発熱。「もうさすがに休めない」と、津市大倉の津病児デイケアルーム「ひまわり」に電話し、長女を一日預かってもらった。

 女性は職場の先輩ママに勧められて、病児保育の利用登録をしていた。「子どもがいると、朝起きたら熱を出していたということが本当によくある。すごく助かっている」と話す。

 ひまわりは津市から委託され、熱田小児科クリニックが運営している。市内に住む生後五十七日〜小学六年の子どもが対象で、一日二千円で利用できる。保育士が子どもの体調に合わせて、食事を取らせたり、遊ばせたりする。昨年度、ひまわりを利用したのは、延べ八百二十五人だった。

■施設が遠い

 病児保育は働く子育て世代には欠かせない存在になっている。一方で、利用したことがない人も多い。施設の場所が自宅や職場から離れているという理由から利用をためらうケースだ。県内の病児・病後児保育施設は今年四月時点で十六カ所。保育所が県内で四百カ所以上あるのに比べると、十分足りているとは言い難い。実は二〇一七年度時点で、県内の病児・病後児保育施設の数は和歌山県に並んで全国最下位。東紀州地域には一カ所もないなど、地域の偏りもある。

 フルタイムで働きながら八歳と六歳の息子を育てる津市の女性(40)は、利用したことがない。市内には施設が二カ所しかなく、女性の自宅からは車で三十分近くかかるからだ。「通勤先と方向が違ったり、時間が合わなかったりしてなかなか使えない」と話す。

 八、六、一歳の三児を育てる鈴鹿市の女性(40)も利用したことがない。「子どもの発熱は私が付いていてあげたほうがいい」という思いもあったが、急ぎの仕事を誰かにお願いしたり、予定をキャンセルしたりしたときは「申し訳ない気持ちだった」という。「施設の数がたくさんあり、短時間でも利用できたら助かる」と感じている。

 各施設の定員も少ない。例えば津市内の一日の定員は二カ所合わせて九人。インフルエンザが流行する時期などは、定員を超える申し込みが続き、利用を断ることも多いという。

病児保育に預けた子どもを迎えに来た母親(左)=津市大倉の津病児デイケアルーム「ひまわり」で

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■経営厳しく

 だが、施設や定員を増やすことは簡単ではない。全国病児保育協議会理事で、はね小児科医院(鳥羽市)の羽根靖之院長は「一番のネックは経営面」と指摘する。県内の多くの施設が市町から補助金を受け、運営しているが「黒字の施設はほとんどないのではないか」と指摘する。

 保育士、看護師も確保する必要がある。利用者がいない日もあり、採算を取るのは難しいという。首都圏では民間企業やNPO法人が運営する施設や訪問型のサービスもあるが、県内で参入する事業者は「おそらくいない」(羽根院長)という。

 羽根院長は「共働き世帯が増える中で、病児保育は重要。われわれも経営度外視で始めた。必要性を社会にもっと認知してもらわなくては」と話す。

■環境整備を

 大切なのは施設整備だけではないという声も。小学五年、二年の息子を育てる松阪市の会社員の女性(43)は、子どもを病後児保育に送り届ける際、出社が遅れるため、会社の有給休暇を取得してきた。

 「一時間単位の有給制度があったので助かったが、もし会社が遅刻や早退に厳しいと、難しい」と感じる。「ただでさえ、子どもを育てながら働くのは罪悪感があるが、病気の子を預けるのはさらに罪悪感が増す」という。まずは勤務先や家族など周囲が環境を整えて「利用するハードルを下げて」と訴えた。

◆今回の読みどころ

 病児保育は働く子育て世代の心強い味方。施設数の増加や職場の理解など、より多くの人が頼りやすい仕組みが求められています。

(文・熊崎未奈 デザイン・清水萌 紙面構成・望月海希)

※次回は9月6日です

 

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